「ひまわりのような姉」13歳で拉致された横田めぐみさんの弟が中学生に向けて拉致語る
およそ半世紀前に発生した北朝鮮による拉致事件。事件の風化を防ぎ、若い世代に関心を持ってもらうため、10日、拉致問題に関する中学生サミットが開催されました。
「家族の会話の中でめぐみちゃんという言葉を発してはいけないような雰囲気を今でも覚えている」
姉を奪われたつらい記憶を語るのは、46年前、北朝鮮に13歳で拉致された横田めぐみさんの弟・拓也さん。当時の姉と同年代の中学生に対して、拉致問題解決を自分の問題として考えてほしいと訴えました。
■拉致された姉・めぐみは「ひまわりのようなお姉さん」
横田めぐみさんの弟、家族会代表・横田拓也さん(54)「色に例えると黄色やオレンジのような、ひまわりのような明るいお姉さんでした」
10日に開かれたのは若い世代の拉致問題への関心を高めるために行われた「拉致問題に関する中学生サミット」です。参加したのは全国から集まったおよそ60人の中学生。
横田拓也さん「みなさんの中に13歳の方はいらっしゃいますか?」
横田めぐみさんが北朝鮮に拉致された当時と同じ年代の子どもたち。サミットに登壇しためぐみさんの弟・横田拓也さんが、姉が拉致された当時の状況を振り返りました。
■今でも覚えている「めぐみという言葉を発せられない雰囲気」
横田拓也さん「私が無邪気にお風呂に入ろうとしてドアを開けた時に父が私の方に背中を向けて頭にお湯をかけながら、息を殺して、声を殺して泣いていた時がありました。両親は普段涙を見せたり、弱音を吐くことはしませんでした。多分、子どもが動揺すると思って我慢していたんだと思いますが、頭にお湯をかけて涙をごまかす形で、息を殺して必死にこらえて泣いていた時に、親に対して使う言葉ではありませんが、なんでこんなに、かわいそうな思いをしなければいけないんだろうと感じました」
めぐみさんが行方不明になった時、わずか9歳だったという拓也さん。当時、家庭には重苦しい空気が流れていたといいます。
横田拓也さん「小さい子どもでも家族の会話の中でめぐみちゃんという言葉を発してはいけないような雰囲気を今でも覚えている」
■「横田さんの家の話ではなく、自分ごととして」
また、講話の中で中学生に何度も訴えかけたのは「拉致問題を自分ごととして考えてほしい」という言葉でした。
横田拓也さん「自分のクラスの友達が突然、明日から来なくなったらどう思うかを想像してみてください。今日帰ったら自分の弟、妹、お兄さんお姉さんが家に帰ってこなかったらどう思うか。自分自身が北朝鮮の船の底に閉じ込められたらどう感じるか想像してみてください」
「横田さんの家の誰かの話ではなくて、自分ごととして考えてほしい」と話した拓也さん。
「私たちが一番恐れているのは、国民の一人ひとりが拉致問題を忘れてしまうこと」として、最後に、中学生たちへ力強くこう呼びかけました。
横田拓也さん「学校や家庭で『めぐみさんの弟から拉致の話を聞いたんだ』とその一言でもいいから伝えてほしい。それが風化を防ぐことにつながる。負けるわけにはいかないんです。自分の大切な姉を取り戻すまで絶対に闘い続けます。自分の問題として負けないという気持ちを持って、この問題の理解を深めていただきたい」