高齢者施設で“陽陽介護” 陽性の職員が陽性の利用者を…
22日、東京では、前の週の同じ曜日よりも4000人以上少ない1万1443人の新型コロナウイルスの新規感染が確認されました。感染はやや減少傾向にありますが、高齢者施設では、陽性となった職員が陽性の利用者のケアをする厳しい状況が起きていました。
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神奈川・川崎市にある多摩ファミリークリニックでは――
医師
「症状としてはのどと熱、最高で38度3分」
患者「はい」
子供2人が陽性になった女性が来院しました。女性も発熱があり、PCR検査を受けたところ陽性が判明しました。
現在、午前中は発熱外来専用にしているというこのクリニック。「新規感染者はピークを越えた」との声もあるなか、医療現場の受け止めを聞きました。
多摩ファミリークリニック 大橋博樹院長
「60人ぐらいはお断りする日もあったんですけれども、ここ1週間ぐらいは、お断りする人がだいたい20人前後になってきている。お断りしている患者さんの数だけなので、実際、私たちが拝見してる数はまだ全く変化がない」
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患者を病院に搬送する民間の救急車は――
民間救急フィール 齊藤学代表
「最近は中等症にまで悪化されている搬送件数も徐々に多くなってきています。なかなか健康観察ができず、重症化を見逃している部分もあるのかなと」
厚生労働省によると、21日時点の全国の重症者は今年最多の1504人。去年9月17日以来、約5か月ぶりに1500人を上回りました。
22日、民間の救急車は取材中にも要請を受け、都内に住む80代の女性を搬送しました。
スタッフ
「いまどんな症状あります?」
女性(80代)
「動くと苦しい」
女性は軽症でしたが、息苦しさを訴えていました。
最近、特に多い搬送依頼は、このような高齢者だといいます。
民間救急フィール 齊藤学代表
「最近は医療機関であったりとか、介護施設のクラスターが非常に多い」
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全国に先駆け感染が拡大し、先月15日に感染者が過去最多の1829人となった沖縄県。クラスターが発生した、80代と90代の入居者がいる高齢者施設では、先月、危機的状況に陥ったといいます。
グループホーム寿 保良満理事長
「(入居者)9名中8名、感染してるということが判明しました。従業員も(12人中)8名感染していたという状況で」
県に人材確保を要請したものの、当時は各地でクラスターが発生しており「すぐには対応できない」と返答があったといいます。そこで、苦肉の策としてとった対応が、陽性で無症状の職員が、陽性の入居者を介護する、“陽陽介護”です。
保良理事長
「(従業員が)陽性になりましたけど、症状が出ていない状況で、無症状者を中心にした従業員をあてがった。管理者側からしてみれば、(陽性のスタッフは)自宅待機。すぐに言われました。県の保健所からもですね。(保健所からは)『駄目です』とはっきり言われたんで。『自宅待機ですよ』と。でも『もうこれしょうがないですよ』というかたちで押し切った」
代わりの人材が来ないなかで、やむを得ず行った“陽陽介護”。
保良理事長
「一番来てほしい時にいないということであれば、多分、他の施設も“陽陽介護”を強いられるというパターンは、そのうち出てくると思います」
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22日の東京の新規感染者は1万1443人。今後、感染が収まるとしても、すぐに次への備えが求められます。