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2026年冬季五輪新採用「スキーモ」 第一人者・小寺教夫選手『直感で公務員を辞めスキーモ中心の生活に』 三重・鈴鹿山脈

2025年3月24日 8:53
2026年冬季五輪新採用「スキーモ」 第一人者・小寺教夫選手『直感で公務員を辞めスキーモ中心の生活に』 三重・鈴鹿山脈
小寺教夫(こでら・のりお)選手
2026年2月に開催されるミラノ・コルティナ冬季オリンピックに新競技として採用された「スキーモ」。
スキーモという競技を深掘りすると共に、スキーモに魅了された三重県いなべ市出身のトップ選手に密着しました。

登山の要素も含むスキー競技「スキーモ」

三重県で唯一のスキー場に、来年2月に開催されるミラノ・コルティナ冬季オリンピックの新種目で五輪出場を目指しているという選手の姿がありました。

その競技はリフトに乗ればわかるということで、ひとまずスキー板を履いて頂上へ。

すると……。

リフトの横にはゲレンデの斜面を、スキー板を履いて登っていく男性の姿が。

あっという間にリフトを追い抜いていきました。

この方は、三重県いなべ市出身の小寺教夫(こでら・のりお)選手(45)です。

小寺選手の競技というのが、「SKIMO」と書いてスキーモといいます。

冬季オリンピックの新競技となったスキーモは、スキー(Ski)と、登山を意味する“マウンテニアリング(Mountaineering)”の頭文字「Mo」を合わせて競技名が付けられています。

スキーモは、雪山の斜面をスキー板を着けたまま登ったり、スキー板を外して階段を駆け上がったりしながら頂上を目指す登山の要素と、猛スピードでゲレンデを滑り降りるスキーの要素がある競技。雪山の斜面を使った過酷なスピードレースです。

来年開催のオリンピックでは、約3分ほどの短距離コースで行われるスプリントと、男女混合で行われるミックスリレーが採用されています。

小寺選手は、2018‐2019年シーズンにアジア人として初めてW杯に全戦出場。
オリンピックに採用された短距離種目のスプリントで世界6位にも輝いている、日本におけるスキーモの第一人者なんです。

スキーモで使われるスキー板は、片足約2キログラムの通常のスキー板よりかなり軽く作られていて、片足は750g、リンゴで例えると2・5個分です。

もう一つ、大きな特徴があり、スキー板の裏にシールとかクライミングスキンと呼ばれているアイテムが付いています。

スキーモ用の板に付けるこのシール。下から上になぞると毛が立ちストッパーになるといいます。逆に、上から下になぞると毛が倒れ滑りやすくなる、猫じゃらし(エノコログサ)の花穂のような構造になっています。

本当にこれだけで、雪山の坂を登ることができます。

雪山を歩くこと自体は難しくないと言いますが、ゲレンデを登り切るにはやはりきつい競技です。

しかし、小寺選手は「自分の足で登った後に滑る1本は格別ですよ」と話してくれました。

“自分の足で登って一気に下る”それがスキーモの魅力だといいます。

スキーモでは、“トランジット”という頂上で必ず行わなくてはならない"ある作業"があります。

それが、スキー板の裏のシールを剥がす作業です。この剥がす時の感覚が、小寺選手によると気持ちいいそうです。軽くジャンプした瞬間に、シールの先をつまみ一気に剥がします。

小寺教夫選手:
「スキーモの見せ所のひとつです」


このトランジットを、いかに短縮できるかが勝負の分かれ目です。
小寺選手にかかれば、一瞬にして終わります。

夜が明けない早朝から練習に打ち込む小寺選手

頂上に着いてから、10秒ほどでトランジットをあっという間に終え、雪山を滑り降ります。

実は、小寺選手がスキーモを知ったのは34歳のころでした。

それまでは公務員として勤めながら、陸上の中距離走や山中を走るトレイルランなどの競技をしており、スキー自体は趣味程度だったといいます。

それが、約10年前にインターネットでスキーモの存在を知ると夢中に。

小寺教夫選手:
「パッと見た瞬間これだって! 最初のレースの写真を見て、自分でもこんな笑顔するんだと思うくらいドはまりした笑顔をしていた」

競技を大好きになれるという直感のままに、公務員の仕事を辞め、スキーモ中心の生活になったといいます。

現在は会社員として、競技と両立しながら働いているということです。

小寺選手の練習に密着してみると、そこには驚きの光景がありました。

小寺選手に取材時間として指定されたのは朝の4時。

この日は2月の大寒波の影響で、三重県では一面、銀世界の光景になっていました。

車で20分ほど行った場所には、ゲレンデではなく練習場所の林道があります。
ライトのスイッチを切ると、数センチ先も見えないほどの真っ暗闇です。

三重県内のこのような雪が残る林道などを探し、たった1人で毎朝2時間ほど、小寺選手は黙々と練習しています。

自然の中で行う1人の練習は静寂な山の中です。それでも怖いと感じることはない、と言います。

小寺教夫選手:
「静かなように見えて何か音を感じる。シカの鳴き声や山独特の音もあるのでそういうのが楽しい」

朝日が昇り、空が明るくなった朝7時前に帰宅します。

公務員として働く妻・佳代さんと2人暮らし。
協力して朝食を作り、朝7時半には会社に向かう生活を毎日送っています。

小寺教夫選手:
「朝8時半から夕方まで仕事。それ以外に練習できるのは早朝しかない」

赤木由布子アナウンサー:
「奥さんは起きてる?」

妻・佳代さん:
「めっちゃ寝てます(笑)。ちょうど夫が帰って来る時に起きます」

スキーモに人生を変えられた男・小寺教夫選手。

三重・鈴鹿山脈の雪山から、世界を目指します。

最終更新日:2025年3月24日 9:07
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