触るだけで色や向きがわかる靴下 視覚障がい者と共に開発 「ものづくりの力で不便さを補いたい」
この靴下を開発したのは、愛知県で靴下を中心とした服飾雑貨の企画販売を手掛ける株式会社マリモ。代表取締役の日比野ほのかさんによると、開発のきっかけとなったのは、創業者であり祖父でもある日比野敏夫さんが、病気で片目の視力を失ったこと。靴下の色を尋ねることが増えた祖父の姿を見て、目が不自由な人たちから潜在的なニーズがあるのではないかと考えた日比野代表は、類似商品もなかったことから開発を決意しました。
視覚障がい者や福祉施設からの協力を得て開発が進められましたが、柔らかい布に点字をつけることに前例がなかったことから、触覚の調整や、一般的に使われている点字の大きさに合わせるためのミリ単位のサイズ調整に苦労したということです。
数々の困難を経て完成した靴下は、2023年6月から販売を開始。購入者からは「家族に用意してもらわなくても自分で履けることがうれしい」「コーディネートが楽しめるようになった」という喜びの声が届いているそうです。
障がいを持つ人の時間的・精神的負担を軽減させながらも、だれもが普通に使えるデザインを心がけたという日比野代表。「大量消費型モデルではなく、悩みをケアする靴下づくりを丁寧に行うことが私たちの使命。ものづくりの力で不便さを補いたい」と靴下に込めた思いを話しました。