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復興への一歩 南三陸が能登につないだ“恩返し” 東日本大震災から13年

2024年3月11日 21:34
復興への一歩 南三陸が能登につないだ“恩返し” 東日本大震災から13年
能登半島地震の爪痕が残る石川県七尾市。今月2日に地元の商店が集まって、復興イベントを開催しました。活気を取り戻し、復興へ一歩進み出した被災地。そのきっかけは、東日本大震災の復興の経験でした。

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記者(2011年3月、宮城・南三陸町)
「コンクリートの建物を残して建物はすべてさらわれてしまいました」

東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県南三陸町。あの日、日常は一変しましたが、震災からわずか1か月半で開催されたのは、福を興す「福興市」です。

「いらっしゃいませ! いらっしゃいませ!」

南三陸の商店が集まって企画し、全国各地の商店街から支援を受け、20店舗が参加しました。再び立ち上がるきっかけになりました。

震災翌年には仮設商店街、2017年には、今の「さんさん商店街」がオープンしました。“復興の象徴”になり、これまでに390万人以上が訪れています。

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「福興市」から商店街を立ち上げた一人が、水産加工会社を営む三浦洋昭さんです。

マルセン食品代表取締役 三浦洋昭さん
「自宅と工場と店舗、流されまして。ゼロスタート」

後押ししたのは――

マルセン食品代表取締役 三浦洋昭さん
「阪神・淡路大震災で大火になった商店街の代表の方。ずっと何回も足を運んでもらって、再開を後押ししていただいた」

今、三浦さんたちは、その“恩返し”をしています。地元の特産品を箱に詰め、元日に被災した石川・能登へ思いを込めて無償で送ります。

マルセン食品代表取締役 三浦洋昭さん
「『いらっしゃいませ』『ありがとうございます』。通常に戻ってきて、普通の生活に少しずつ近づいていければ」

神戸から南三陸へ引き継がれた思いは、能登へ――。

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石川県七尾市。歴史ある一本杉通り商店街では、多くの店が再開できていません。一本杉通り振興会の会長、高澤久さんは、経営するろうそく店の店舗が倒壊しました。

一本杉通り振興会・会長 高澤久さん
「毎日お客様が和ろうそくや線香、買い求めてくださるのが日常でした。それが断ち切られた。一瞬にしてなくなった」

そこでアドバイスを求めた先が、震災直後に商いを再開し復興を成し遂げた、南三陸町の「さんさん商店街」でした。

一本杉通り振興会・会長 高澤久さん
「南三陸の方々からは、難しく考えないで、商人なので商い。物を販売してお客様が来て、商店の皆様もお客様もきっと元気が出る。なるべく早く簡単にやった方がいいと、アドバイスを受けて」

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「なるべく早く」――。“被災地”が活気と笑顔であふれたのは地震発生から42日目。駐車場にテントで店を出す「復興マルシェ」が開催されました。

そして、3月2日には2回目を開催しました。声に出せた「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」。商店街の人たちは、伝統工芸品などを持ち寄って販売しました。南三陸からの思いがこもった海産物も能登へ届きました。

七尾市民
「マルシェいいですね。楽しいから元気になります」
「南三陸とかたくさん応援に来てくださっているので、それを求めて、みんなの笑顔を見に」

出店者
「今年2回目の『いらっしゃいませ』『ありがとうございます』。言えたのでよかった。お客さんからも元気もらえますし、これからもっと頑張っていかないと」

前に進み始めた一本杉通り商店街。訪れたお客さんの顔を見て、思わず「来てくれた。顔が見たかった」と声を上げる出店者の姿がありました。

出店者
「お店がないと会えない。いつもの人に会えない。南三陸の方の話を聞くことで、復活していけるんだと描けました。復活した方がこうやってバトンを、みなさんが前に進む力を、バトンしていってるんだなと感じました」

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