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【#みんなのギモン】「尋常じゃない騒音と臭い・・・」 ナゼ?ある日突然、住宅街に騒音“ヤード”

2023年9月13日 18:17
【#みんなのギモン】「尋常じゃない騒音と臭い・・・」 ナゼ?ある日突然、住宅街に騒音“ヤード”
住宅街の真ん中にできたヤード

日本テレビの情報提供サイトに寄せられたSOS。
「尋常じゃない騒音と振動と臭いに悩まされています」

原因は自宅の隣にできた“ヤード”。リサイクル用の金属などを保管、スクラップするための屋外施設です。ある日突然、あなたの自宅の横に騒音ヤードができてしまったら・・・。住宅街になぜ騒音ヤードが作られるのか、ギモンを取材しました。
(報道局 調査報道班 菊地庸太)


■静かな住宅街の真ん中に…

めがねの生産で知られる福井県鯖江市。家族4人で暮らす田中さん(仮名)からSOSが届きました。

田中さん
「静かな住宅街の真ん中に、中国人が経営する鉄くずスクラップ業者が入ってきました」

事の発端は今からおよそ3年前。
長年空き地になっていた自宅の隣で工事が始まり、しばらくするとリサイクル用の金属やプラスチックを保管、スクラップするためのヤードが完成していたといいます。

田中さん
「尋常じゃない騒音と振動と臭いに悩まされています」

住宅街になぜそんなヤードが?私たちは鯖江市の現場に向かいました。

■被害住民「また始まったか」

とある8月の平日。早朝から田中さんの自宅にお邪魔しリビングで待機していると。

「キキキキキキキキィ……」

午前8時。
耳をついたのはヤードの入り口にある鉄の門が開く音。毎朝、判を押したようにこの時刻に聞こえてくるといいます。

田中さん
「憂鬱以外の何物でもないですね」

田中さんの夫
「また始まったか」

さらに…。

「ガシャン!ガシャン!ガシャン!」

騒音計が示した値は「70デシベル」。これは、掃除機や目覚まし時計の音に相当します。

■子ども部屋の目の前で重機が…

2階に上がり子ども部屋のカーテンを開けると、目の前の塀の向こうで1台の重機が鉄くずを仕分けする様子が。大学生の長女は騒音が気になり部屋で勉強ができないといいます。

騒音や悪臭の影響で庭にも出られず、洗濯物はいつも部屋干し。自宅とヤードの間には5メートルを超える鉄の塀がそびえ立ち、リビングから見える光景はかなりの圧迫感があります。

田中さん
「静かに子育てをしたい思いもあって、この場所に家を建てました。ヤードができる前は庭でBBQをしたりプールを出したり…。夫も趣味の畑でミニトマトやキュウリをつくっていました。でもいまは騒音を聞かれるのが恥ずかしいので、親戚や友人を家に呼ぶこともなくなりました」

■なぜヤードが住宅街に?3つの理由

なぜ、近隣住民への被害が懸念される住宅街につくるのでしょうか?

廃棄物やヤードの問題に詳しい猿倉健司弁護士は3つの理由が考えられるといいます。

●理由① 交通の便が良い
住宅街は国道などの幹線道路に近いことが多く、ヤードに出入りする運送業者が資材の搬入、搬出をしやすい。

●理由② コストが安い
住宅街は山間部に比べて輸送コストを抑えられる。
また幹線道路沿いよりも少し奥まった場所に位置するため、一般的には地価が安くなる。

●理由③ 売り地の増加
祖父母や親から相続された住宅街の土地を、手放す人が増えている傾向にある。

■ヤードの経営会社「違法なことは絶対にしない!」

ヤードを経営するのは中国人が代表を務める会社。直接、話を聞いてみると…。

調査報道班
「なぜ住宅街にヤードをつくった?」

ヤードの経営会社
「土地が安かったから。それに道路が近くて便利だから」

調査報道班
「多くの近隣住民が騒音で困っている」

ヤードの経営会社
「住民とは話し合いをして操業時間を決めている。昼間はなるべく重機を動かさないように配慮している」

調査報道班
「法律違反はしていない?」

ヤードの経営会社
「なんで?違法なことは絶対にしない!市役所の職員も何回か来たきたけど法律違反はない!」

■自治体「あくまでお願いベース」

市の担当者は。

福井県鯖江市環境政策課
「住民の訴えに応じて、業者に直接、騒音などに配慮するよう注意はしているが、有価物のヤードを規制する条例がないため法的な強制力はなく、あくまでお願いベースになっている」

「野放しにしているつもりはないが、現実的な対応が難しく苦慮しているのも事実。市の立場としては、住民と業者、両者の利益を守る必要があるため条例制定は簡単ではない」

■独自アンケート 都道府県の9割「条例ない」

その他の自治体はどうなのか?私たちは全国の都道府県に独自アンケートを実施。結果、およそ9割にあたる42自治体が「条例はない」と回答しました。
主な理由は…『トラブルの報告がなく必要性がないから』、『現行法での対応が可能と考えているから』

一方で、およそ6割にあたる29自治体が有価物を扱うヤードの件数を「把握していない」と回答。法律による届け出の義務がないため、そもそも自治体がその実態を把握しづらい状況も考えられます。

こうした中、千葉県はきょう、業者への規制を強化するための「金属スクラップヤード等適正化条例案」を県議会に提出。来年4月からの施行を目指し、制度の周知や必要な体制の整備を行うとしています。

また、茨城県も同様の条例制定を目指し、今月いっぱい県民からの意見を募集するなどヤードの規制を強化する動きも出始めています。

■自宅の隣にヤードが…何ができる?

自宅の隣にヤードができた。でも住んでいる街に規制するための条例がない。そんな時、私たちに何ができるのでしょうか?

猿倉弁護士は、騒音規制法、振動規制法、悪臭防止法、水質汚濁防止法など、既存の法律でも対応できる可能性を指摘します。

猿倉健司弁護士
「騒音、振動、有害物質の汚染拡散などについて法令の規則に反していることが客観的に証明できる調査や映像の記録などを集めることが重要です。法規制の対象となる廃棄物の保管や搬入を示す映像記録や、健康被害が発生した際の医師の診断書も有効です。
騒音、振動、悪臭などによって精神的な健康被害が生じている場合には、警察に被害届や告訴状を提出したうえで傷害罪での被害相談を行う方法もあります」

■専門家「現状はモグラたたき」

ただ、猿倉弁護士は住民レベルでの対応には限界があるとも指摘。騒音ヤードは国が関与すべき社会問題としたうえで、一部の自治体での対応にとどまっている現状を「モグラたたき」に例え警鐘を鳴らします。

猿倉健司弁護士
「市区町村単位の規制から都道府県単位の規制への流れが出てきているが、それでもモグラたたきの幅が少し広がっただけで不十分。国の法令として十分な罰則付きの規制をもって、全国的な取り組みを検討すべき時期に来ています。網羅的な規制をかけなければ、不適切な業者は規制がない自治体に逃げるだけです」

住宅街に、ある日突然できてしまう騒音ヤード。『じぶんごと』として考えてもらいたい問題です。

●あなたの身の回りの怒りやギモンをお寄せください。

お寄せいただいた情報をもとに日本テレビ報道局が調査・取材します。

#みんなのギモン

https://www.ntv.co.jp/provideinformation/houdou.html