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「迷惑客」宿泊拒否へ……泥酔して「宿泊させろ」、アロマに憤慨「タダにしろ」“過剰要求”の中身 「違法だから帰って」に壁も

2023年9月7日 10:20
「迷惑客」宿泊拒否へ……泥酔して「宿泊させろ」、アロマに憤慨「タダにしろ」“過剰要求”の中身 「違法だから帰って」に壁も

過剰な要求を繰り返す迷惑客の宿泊を拒める法改正に向け、国が指針案のたたき台を示しました。どんなケースで拒否できるかや、客が罪に問われる可能性がある具体例などが盛り込まれました。宿泊施設側からは、実際の対応の難しさを指摘する声も上がります。

■改正旅館業法で「宿泊拒否」可能に

有働由美子キャスター
「ホテルにやってきた泥酔している人物が、フロントに対して繰り返し『宿泊させろ』と怒鳴っています。こうした迷惑客の宿泊はこれまで原則、断ることができませんでしたが、今後は断れるようになります」

小栗泉・日本テレビ解説委員長
「これを可能にするのが、今年12月までに施行を目指す改正旅館業法です。どんなケースで宿泊を拒否できるのか、その具体例などを盛り込んだ指針案のたたき台を、厚生労働省が示しました」

■宿泊を拒める「過剰な要求」の一例

小栗委員長
「一例としては、対面や電話・メールなどで長時間にわたり、または叱責しながら不当な要求をする。自身の泊まっている部屋の上下左右に宿泊客を入れないように要求したり、不当な割引やアップグレードを要求したりする、ということが挙げられています」

「こうした過剰な要求を繰り返す迷惑客は、宿泊を拒否してもいいということです」

■都内の高級ホテルと箱根の旅館では…

小栗委員長
「実際、都内の高級ホテルであったことを聞いてみると、入り口で焚いているアロマの香りに怒った客が『ホテルを無臭にしろ』『宿泊料をタダにしろ』としつこく言ってきたケースがありました」

「神奈川・箱根の旅館では、食事にガムが入っていたと団体客にクレームをつけられ、旅館側は1人約3万5000円の宿泊料を『半額にする』と提案したものの納得せず、結局7割引きにされたことがあるそうです」

有働キャスター
「実際にこういう人がいるとは考えられないですが、法律が変わり指針も出れば、宿側は『宿泊拒否です』『お帰りください』と言えるのでしょうか?」

■「たたき台」には罪に問われ得る例も

小栗委員長
「都内のホテルからは、『気持ちよく利用してもらいたい、というホスピタリティが基本にあるので、違法だから帰ってくださいと伝えるのはなかなか難しい』という声が上がっています」

「東京・浅草の旅館は『お客様が帰らずもっと逆上した時に警察は呼んでもいいのか? そこを明確にしてほしい』と求めています。ただ(今回の)たたき台には、迷惑客が罪に問われる可能性がある具体的な例も明記されています」

「例えば、大声で罵倒したら威力業務妨害罪、備品などを意図的に破壊したら器物損壊罪、『宿泊料をタダにしないとSNSに悪評を載せるぞ』と脅した場合には恐喝未遂罪に、それぞれなり得ます」

「また指針案では障害者への配慮として、『障害があることを理由に宿泊を拒否できない』とも明記。『差別的な取り扱いが行われないよう、十分に注意しなければならない』としています」

有働キャスター
「その点重要ですよね。『お客様は神様』という言葉がありますが、理不尽な要求をするのはただの疫病神です。常識的に過ごしている多くのお客さんのためにも、ぜひ効果的な指針を出してほしいです」

(9月6日『news zero』より)