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“桜と共に”自宅再建…熊本地震から7年3か月 「他の場所には住めない」【藤井貴彦キャスターが取材】

2023年7月14日 19:26
“桜と共に”自宅再建…熊本地震から7年3か月 「他の場所には住めない」【藤井貴彦キャスターが取材】

熊本地震の発生から14日で7年3か月。news every.の藤井貴彦キャスターは、地震発生当時、家が全壊し不安を抱えた男性を取材しました。この日、久しぶりに男性と再会し、復興の歩みついて話をうかがいました。

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藤井キャスターが訪ねたのは、熊本・益城町に住む佐野明士さん(76)と幸子さん(73)の夫婦でした。

藤井キャスター
「景色ずいぶん変わりましたね。新しい建物が多いですね」
「やはり7年たつと違いますね」

2016年4月に起きた熊本地震で、熊本県内では273人が亡くなり、約20万棟の住宅が被害を受けました。なかでも益城町は、唯一、2度の震度7の揺れに見舞われ、甚大な被害を受けました

藤井キャスター
「ご無沙汰しています」
「まだ新築のような新しい建物ですね」

    ◇

地震で、佐野さんが当時住んでいた自宅は全壊。2度目の「震度7」から6日後の2016年4月22日、現地を取材していた藤井キャスターが出会いました。

佐野明士さん(当時69歳)
「これからの生活だったんですけど…。一瞬のうちにパーになりました」

自宅と避難所を往復しながら片付けを行う日々。損壊が激しく、住むことが出来なくなった自宅はその後、解体。28年住み続けたマイホームでしたが、自宅があった場所は更地となりました。

その後、仮設住宅へ引っ越した佐野さん夫婦。二人とも70歳を超え、「今後どこに住むか」悩んでいました。

佐野明士さん
「今後の再建に向けての生活は、不安に思っておりますね」

しかし、4年前に元の場所に自宅を再建。益城町で新たな生活を始めたのです。

藤井キャスター
「この場所はずっと住んでいたい場所?」

佐野幸子さん
「いまからどこって行けませんよね。40年もここにいたからね」

この場所に家を建てることを後押ししてくれたのは、2人の娘の公美(さとみ)さんでした。

佐野明士さん
「娘には世話になりっぱなしで」

経済的な面でも支えになったのは娘夫婦でした。今も佐野さん夫婦と一緒に、この家に住んでいるといいます。

そんな娘の公美さんが持ってきてくれたのは、貴重品や防災グッズが入ったリュックです。熊本地震の時、避難所に持って行ったのは携帯1台だけ。あの時の教訓をいかし、何かあってもすぐ避難できるよう、備えが欠かせないといいます。

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益城町では、2車線を4車線にする工事が進み、新しい住宅が並ぶなど、復興しつつあります。しかし、復旧が進んで町に住めるようになってきた一方で、病院やスーパーなど生活に必要な施設は減ったといいます。

環境が変化する中、変わらないものもありました。

佐野明士さん
「思い出がですね、あって。ぜひ大事にしたいなって」

それは、自宅を解体しても庭に残した桜の木です。

佐野明士さん
「30年近くわたしの暮らしを見守ってきたと思うんですよね、桜も」

これまで35年間、佐野さんと家族を見守り続けている桜の木。今年の春にも満開の花を咲かせました。熊本地震から7年3か月。新たな生活が始まっています。

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