チャイルドシート 身長低い高齢者も着用必要?「身長140㎝→150㎝未満」引き上げへ【#みんなのギモン】
これまでチャイルドシートは身長140センチ未満の着用が推奨されていましたが、日本自動車連盟(JAF)はこれを150センチに引き上げることで調整を進めていることがわかりました。一方で日本テレビの情報提供サイトには「小柄な大人もチャイルドシートを装着すべきなのでしょうか」という疑問が複数寄せられています。取材しました。(報道局 調査報道班 佐藤正己)
■シートベルトを“凶器”にしないために
8月20日、日本テレビnews every.で、子どもが安全に乗車する方法について紹介し、そのなかでチャイルドシートやジュニアシートは「年齢ではなく身長を目安とする」「140センチ未満の子どもには使用が推奨されている」と伝えました。
日本自動車連盟(JAF)は「年齢を問わず、正しくシートベルトを使える身長140センチ以上になる時期まで、チャイルドシートやジュニアシートをぜひ使ってほしい」と呼びかけています。
■チャイルドシート 身長低い高齢者にも? 使用の目安「150センチ」へ
この放送のあと、日本テレビの情報提供サイトには次のような声が寄せられました。
「60代の母は身長が140センチ未満です。身長の低い高齢者はどうしたらいいのでしょうか」
「年齢ではなく身長を目安にするならば、高齢者もチャイルドシートを着用すべきでしょうか?」
記者はJAFに聞いてみました。するとこのような回答がありました。
「JAFは子どもを対象に啓発しています」
「大人は自身でシートベルトや座席の高さ、シート角度などを調整できます」
「大人の場合、身長が140センチに満たなくても、体格や骨格がしっかりしています。自分で座席やシートベルトの高さを調整することもできます」
「肩ベルトが首にかからないよう、しっかりと胸骨を通し、腰ベルトもお腹にかからないよう腰骨のあたりを通すように調整してもらいたい」
またJAFはチャイルドシートを使う場合の身長の目安について、メーカーなどによってばらつきがあるため、関係各所と協議の上で、9月中旬をめどに「150センチ」に引き上げる調整を進めているといいます。
一方で寄せられた投稿には、こんな心配の声もありました。
「デイケアの送迎時には高齢者に必ずシートベルトをしてもらいますが、(高齢者自身が)苦しくて脇の下にベルトを通してしまうケースが多い」
子どもだけでなく小柄な高齢者にとってもシートベルトは負担で、正しく装着できないこともあるとの切実な訴えです。
■重大事故を防ぐため周囲の人ができるチェックポイント
交通事故総合分析センター(ITARDA)は、小柄な高齢者の方が、シートベルトによる負傷をしやすい可能性があると指摘します。※以下「イタルダ インフォメーション」 No.104より
高齢者が、より安全に乗車する方法はあるのでしょうか?
まず前提として、どの座席に座る場合でも「正しくシートベルトをすること」が求められます。
一方、さまざまな理由で高齢者が正しくシートベルトを着用していない場合には、家族や周りの人が、次のような事に注意する必要があるといいます。
■チェックポイント【1】座席に正しく座っていますか
小柄なため深く腰かけられない、背中が丸まっているなど、腰とシートバックにすき間があると、骨盤が傾いている可能性があります。
そうすると腰のシートベルトがずり上がり、お腹を負傷する危険が高まります。
またシートバックを通常より倒していても、同じ状況になります。
対策として「シートバックを立て、背中や腰の後ろにクッションを固定する」など、正しい姿勢で座る事が推奨されます。
(※個人差が大きいため無理のない範囲で行ってください)
■チェックポイント【2】座席の上に滑りやすいクッションなどを置いていませんか
座席の上にすべりやすいクッションを置いていると、事故の際に腰が前にすべって、腰のシートベルトがずり上がり、お腹や胸に重傷を負うリスクが高まります。
どうしても必要な場合は、確実に固定してすべりにくくする事が推奨されます。
高齢者にとって、重要な移動手段である自動車。
安全第一で、負担を少なく乗車できるように、周囲のサポートが必要となります。
【みんなのギモン】
身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)