【解説】東日本大震災からまもなく12年 東北地方沖合の地震活動のいま――津波や強い揺れに引き続き注意を
今月13日から19日までの期間、国内で震度1以上の地震が21回、発生しました。この期間は震度3の地震が3回ありました。
▼13日午前10時2分ごろ、宮城県石巻市、福島県相馬市と国見町で震度3となる地震がありました。震源は福島県沖、地震の規模を示すマグニチュードは4.8、震源の深さは54キロでした。
▼17日午後7時38分ごろ、福岡県宗像市で震度3を観測する地震がありました。この地震の震源は福岡県北西沖、地震の規模を示すマグニチュードは4.3、震源の深さは16キロでした。
▼19日午後5時50分ごろ、福島県広野町、楢葉町、川内村、大熊町で震度3を観測する地震がありました。震源は福島県沖、マグニチュードは4.0、震源の深さは50キロでした。
図は、東北地方の太平洋側を震源とする地震で震度1以上の有感となった地震の回数です。東北地方の沖合では太平洋プレートが沈みこんでいるため、比較的地震の多いエリアです。
2005年から震災が起きた前の年まで、1年間に起きる有感地震は500回から1000回程度でした。ところが東日本大震災が起きた2011年は、3月11日の震度7をはじめ、その後の度重なる大きな地震、余震も続き1年間に震度1以上の地震は2万4000回を超えました。
2012年以降は増減はありますが、全体的に地震回数は減少傾向にあります。しかし、政府の地震調査委員会は「震災以前に比べると、まだ地震活動が活発であって震災以前の状態には戻っていない」という見解を示しています。さらに時々、規模の大きな地震も発生しています。
2011年から東北地方の沖合で起きた、マグニチュード3以上の地震を図にあらわしたものです。青森県沖から千葉県の沖合まで広範囲で地震が起きていることが分かります。これは東日本大震災の余震域と呼ばれていた南北約500キロのエリアに、おおむね一致しています。
さらに2022年以降に起きた地震の震源は、赤色の点で示しています。余震域の中心付近では、最近は地震活動が低調な一方で、宮城県や福島県の沖合の陸地に近いエリアでは地震が多く起きています。陸地に近い場所で大きな地震が起きた場合は揺れが大きくなることもあるため、引き続き耐震対策が必要です。
福島県の沖合では2021年2月13日にマグニチュード7.3の大地震が発生し、宮城と福島で震度6強の激しい揺れを観測しました。さらに2022年3月にも前年の震源の近い場所でマグニチュード7.4の地震が発生し、営業運転中の東北新幹線が脱線する事故も起きています。
2021年2月の地震直後におこなわれた政府の地震調査委員会の会見では、「東北地方沖合の地震活動は、あと10年は続く可能性がある」と指摘しています。規模の大きな地震が海底で起きた場合には、津波発生のおそれもあります。強い揺れや長い揺れを感じたときには津波の情報にも注意が必要です。