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“運航・安全管理の欠如”が重大な影響「過ちの連鎖が起きた」 知床沖観光船沈没事故で最終報告書

2023年9月7日 10:21
“運航・安全管理の欠如”が重大な影響「過ちの連鎖が起きた」 知床沖観光船沈没事故で最終報告書

去年4月、北海道・知床半島沖で発生した観光船沈没事故で、国の運輸安全委員会は事故の原因は、ハッチの不具合に加え、運航管理・安全管理体制の欠如が重大な影響を及ぼしたと考えられると結論づけました。

観光船「KAZU 1」の沈没事故では、乗客乗員20人が死亡し、いまだ6人が行方不明となったままです。

事故原因を調査していた運輸安全委員会は最終報告書を公表し、不具合があったハッチのふたが船の揺れで開いて海水が入り込み、浸水が拡大し沈没したと考えられるとしました。

さらに、事故発生に重大な影響を及ぼしたと指摘したのが、運航管理・安全管理体制の欠如です。

船長が知識や経験不足から引き返す判断が的確にできない上、有効な通信手段がなく助言を得られなかったことや、運航と安全を管理する立場の「知床遊覧船」の桂田社長が、船に関する知見もなく現場任せで、代わりの人材も欠いていたことなどから、実質的な運航・安全管理ともに存在していなかったと結論づけています。

また、国の監査や船体検査の実効性に問題があったことも指摘し、運輸安全委員会は「ハード面のみならずヒューマンファクターも入り組み、過ちの連鎖が起きた」と説明しています。