【解説】政府内で“微妙な温度差”も…「新型コロナ対策」見直し進む
新型コロナウイルスの第7波は、全国的に感染者数が減少傾向となっています。こうした中、新型コロナとの共存に向けて、さらなる対策の見直しが進んでいます。
「『COCOA』停止へ…ナゼ?」
「水際対策、さらに緩和へ」
「全国旅行支援、開始は?」
以上の3つのポイントについて、詳しく解説します。
13日、全国で新たに確認された新型コロナウイルスの感染者は、8万7572人でした。全国的に減少傾向が続いています。
こうした中、河野デジタル相が今後、機能を停止する考えを明らかにしたのが、接触確認アプリ「COCOA」です。その理由は、政府が感染者の全数把握を見直すことから、このアプリを利用する前提が変わるためとしています。
このアプリがダウンロードされた回数は、先月までに4000万回以上でした。このアプリをスマホに入れておくと、感染した人が自ら登録することによって、その人と接触した可能性がある人に通知が届くという仕組みです。これまで日本で新型コロナに感染した人は、のべ2000万人以上に上りました。
一方、感染した人が実際にCOCOAに登録した件数は、約350万件でした。単純計算で、約17%の人しか登録しなかったということです。一定の役割は果たしたと思いますが、効果は限定的だったといえるかもしれません。
河野デジタル相も今後、利用者にアンケートを行って、総括した上で、「“次のパンデミック”につないでいきたい」と述べました。
そして、東京都も新型コロナ感染者の「全数把握見直し」を行うことを決定しました。今月26日からは、届け出の対象を「65歳以上」、「入院が必要」、「重症化リスクあり、治療薬・酸素投与が必要」、「妊婦」に絞ります。対象者は、これまでと同じように健康観察などのフォローを続けます。
一方、重症化リスクの低い人たちが、検査キットや発熱外来で陽性確認された場合、「東京都陽性者登録センター」に、「感染しました」と自分で登録することができます。申請フォームで質問に回答すると、登録ができます。
自分で登録が完了した人は、「健康観察」、「配食サービス」、「パルスオキシメーター貸し出し」、「宿泊療養」などを利用することができるようになります。また、無症状の人でも利用でき、最初は無症状で体調が悪化した時でも、自宅療養サポートセンター「うちさぽ東京」に相談することができます。万一の入院や往診などの対応もするということです。
こうしたフォローを受けたい人は、自分で登録した方が良さそうですね。都はセンターで対応可能な患者数を、「1日3000人から、8000人に増やす」としています。
一方、旅行を巡っても、さらなる緩和に向けた動きがあります。
今月7日、外国人観光客の受け入れにつながる水際対策は、「1日の入国者数の上限は1日5万人」、「陰性証明はワクチン3回接種で不要」、「ツアーでは添乗員不要」と、すでに緩和されました。一方、「訪日ビザはすべての国から必要」となっています。
さらに今後、政府は「入国者数の上限撤廃」、「個人旅行の解禁」、「ビザ免除」などについて、検討を進めています。では、いつから実施されるか、気になります。
実は、政府内にも“微妙な温度差”があります。
政府高官は「円安メリットを生かした政策を実施する必要がある」と述べ、外国人観光客を受け入れて、日本でたくさんモノを買ってもらうインバウンド消費を増やすべきという声があります。
一方、首相周辺からは「感染者数や国民の期待値などをよく見てから、判断する」という声もあり、政府は慎重に判断することにしています。
観光庁はすでに6月、「Go To トラベル」に代わる新たな観光支援策として、「全国旅行支援」を公表しています。
・割引率は「全国一律40%」
・上限額(1人1泊)は、公共交通機関を使うツアーで8000円、その他で5000円。
・クーポン券は「平日3000円」、「休日1000円」
つまり、最大で1人1泊・1万1000円の支援が受けられるとしています。
では、全国旅行支援はいつから実施されるのでしょうか。観光庁は「感染状況の改善が確認できれば、速やかに実施したい」と早期に実施したい考えです。一方、政権幹部は「観光庁は前のめり過ぎる」と述べ、政府としては実施時期について、感染状況を見ながら、慎重に判断する方針です。
(2022年9月14日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)