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【解説】世界初のアルツハイマー治療薬を審議 「画期的」も課題 早期投与求められるも…少ない検査機関

2023年8月21日 11:36
【解説】世界初のアルツハイマー治療薬を審議 「画期的」も課題 早期投与求められるも…少ない検査機関

21日夜、日本の製薬大手エーザイとアメリカの製薬会社バイオジェンが共同開発した世界初のアルツハイマー型認知症の治療薬について、厚生労働省の専門部会で審議されます。

●いくら? いつから?
●検査が難しいなど課題も

以上のポイントを中心に詳しく解説します。

■新薬「レカネマブ」審議に たまった「アミロイドβ」も取り除く

新薬「レカネマブ」は、21日夜に開かれる厚生労働省の専門部会で承認してよいか審議されます。部会で了承されれば、大臣が承認するという流れになります

レカネマブは、どのような薬なのでしょうか。

まず、アルツハイマー病は「アミロイドβ」というタンパク質が脳にたまることにより神経細胞が壊れ、記憶力や判断力に影響を与えるものです。

レカネマブは、その原因のアミロイドβにくっついて増えないようにし、脳内にすでにたまったものを取り除くこともできるというのが大きな特徴です。

これまでのアルツハイマーの薬は「人の名前が出てこない」「約束を忘れてしまう」といった症状を緩和する作用しかありませんでした。レカネマブは、実際に神経細胞の破壊を防ぎ、進行のスピードを抑えるという薬です。

エーザイによると、軽度の認知症患者などへの臨床試験では、症状の悪化がこの薬を使っていない人に比べ27%抑制されました。症状の進行を「平均で約3年」遅らせることができると推定される、としています

重要な点として、「治るわけではない」ということがあります。ただ、進行を遅らせるだけでも、とても画期的な薬です。

■課題も アメリカで1人あたり年間「約380万円」

このように画期的な薬ですが、課題もあります。

アメリカではすでに今年7月、治療薬として正式に承認されています。アメリカでの販売価格は、1人あたり年間2万6500ドル(=約380万円)と高額です。

仮に日本での価格が年間380万円に決まったとして、保険適用で3割負担となれば114万円、75歳以上で1割負担の場合は38万円ほどとなります。ただ、この額を全て負担するということにはならないとみられます。

また、いつから使えるのかという点について、大臣が承認してからも様々な手続きが待っています。エーザイとしては、それらの期間を鑑みても年内には供給開始できるのではないかとしています。

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■早期投与が求められるも… 「初期は気付きづらい」「少ない検査機関」
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