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大雨時の「土砂災害警戒情報」新基準に変更“メッシュ細分化”で災害リスクの予測精度向上へ――東京都・気象庁

2023年7月9日 12:27
大雨時の「土砂災害警戒情報」新基準に変更“メッシュ細分化”で災害リスクの予測精度向上へ――東京都・気象庁
2013年 台風26号による土砂災害(東京都)/気象庁HPより

大雨で土砂災害の危険度が高まった時に発表される「土砂災害警戒情報」の基準がこの夏から変更されました。「土砂災害警戒情報」は自治体が避難指示を出す際の判断基準となっており気象庁は精度を向上させて避難対象地域の絞り込みにつなげていきたいとしています。

「土砂災害警戒情報」は大雨によって、命に危険を及ぼす土砂災害の発生の危険度が高まった時に都道府県と気象庁が共同で発表する情報です。5段階の大雨警戒レベルの警戒レベル4に相当する情報で、市区町村が避難指示を出す時の判断基準となっています。

「土砂災害警戒情報」は60分間の積算雨量と、降った雨が土壌の中にどれだけ溜まっているかを数値化した「土壌雨量指数」を組み合わせて発表基準を設定しています。

この「土砂災害警戒情報」について東京都と気象庁は6年ぶりに発表基準を見直し、先月から運用を開始しました。

都と気象庁によりますと、今回の見直しでは雨量などの計算範囲である「メッシュ」をこれまでの5キロメートル四方から、1キロメートル四方に細分化しました。5キロメートル四方に分けた場合の、従来のメッシュ数は、136でしたが、1キロメートル四方になると、2232に増加します。メッシュを細分化することで土砂災害の発生の危険度が高まったエリアを絞り込むことが可能になり、より高い確度で「土砂災害警戒情報」を発表できるということです。

また「土砂災害警戒情報」は、過去に発生した大雨や台風による、土砂災害の事例を調査して発表基準に加えていますが今回、新たに、2019年以降に発生した大雨や土砂災害時の土壌雨量指数や解析雨量のデータを基準に反映させたということです。

さらに、急傾斜の崖や斜面がなく土砂災害がおきるおそれのない大田区などの一部エリアなどを情報の判定対象から除外しました。これによって「土砂災害警戒情報」が発表されても結果的に土砂災害が発生しない、いわゆる「空振り」が減少することが期待されます。

気象庁は「より的確な避難対象地域の絞り込みにつなげていきたい」としています。