男性もHPVワクチン「無料」に……元カップルらが国に要望ナゼ? 賛同する医師「お互いを守れる」「社会全体の感染率下がる」
子宮頸がんを引き起こすウイルスへの感染を防ぐワクチンの無料定期接種について、男性も対象に含めるよう、元カップルらが国に求めました。ウイルスには男性も感染し、接種で性感染症などの予防につながります。賛同する医師は男性の接種の意義を強調します。
去年まで交際していた、大学生の川上詩子さん(21)と服部翼さん(20)に17日、交際当時の話を聞きました。
川上さん
「とりあえずHPVワクチンを知ってほしいという思いから、もし可能なのであれば打ってほしいなって」
服部さん
「当時はHPVワクチンという言葉を全く知らずに、そのワクチンって何なんだろう?っていうのが正直な感想でした」
子宮頸がんの原因であるHPV(ヒトパピローマウイルス)は、主に性的な接触で男女とも感染します。男性がこのウイルスへの感染を防ぐワクチンを打てば、肛門がんや中咽頭がんなど、また性感染症の予防につながります。
さらに、ウイルスへの感染を防ぐことで、パートナーを守ることにもなります。
川上さんは「手段があるのならば、お互いにお互いを守りたいね(と思いました)」と言います。服部さんも「調べていくなかで、多くのメリットがあるということが明らかになって、打とうと(考えました)」。
ただHPVワクチンは3回の接種が必要で、男性には補助がないため、費用はトータルで約5万円です。服部さんは「金銭的なことがネックになって接種はまだできていません」と明かします。
そのため川上さんと服部さんらは17日、無料でできる定期接種の対象に男性も含めるよう、国に求めました。
今、日本で無料接種できるのは小学6年生~高校1年生、1997年度~2005年度生まれ(2022年4月から3年間)の女性のみです。海外ではオーストラリアなど、既に男性の無料接種を行っている国もあります。
男性の無料接種に賛同する、産婦人科専門医の稲葉可奈子医師は17日、こう強調しました。
「男性も女性も予防することによって社会全体のHPVの感染率自体もいずれ下がっていきますし、将来のパートナーにうつすこともなくなります。男性と女性お互いに大切なパートナーを守ることにもつながります。男性が接種する意義は明らかです」
服部さんは「全ての性別の方に、男女どちらにもHPVワクチンが届く。そのような社会があってほしいなと今考えています」と話しました。
(11月17日『news zero』より)