【特集】海ごみ大量漂着 ウミガメの体内からは巨大なビニールが… 2050年にはごみの量が魚を上回る!?
絶滅危惧種に指定されている世界最大のウミガメ「オサガメ」。福井市の自然史博物館には今、オサガメの骨格標本が展示されていますが…。
■リポート 櫻井幹大記者
「こちらのウミガメの体内から、私が手を広げた大きさのプラスチックごみが見つかりました」
3年前に美浜町に漂着したオサガメの死骸から見つかったのは、体長とほぼ同じ1メートル四方のビニール。よく見ると、カメがかんだような跡もあって、クラゲと間違って口に入れた可能性があるということです。
これだけ大きいものが体内に入っていたというだけでショッキングですが、ちなみにオサガメの体内から見つかったごみの中では世界最大のサイズだそうです。私たちの身近な海の状況はどうなっているのか?県内の海ごみの現状を取材しました。
■リポート 櫻井幹大記者
「1キロ以上続く海岸には広範囲にわたってたくさんのごみが打ちあがっています」
環境省などによると、現在、世界中の海に漂っているプラスチックごみの量は1億5000万トン余り。毎年800万トンものごみが新たに流出しているとされていて、このままだと2050年には魚よりもごみの量が多くなるとも言われています。
■アノミアーナ 前田和代副代表
「たくさんの人が来てくれているので(ごみを)どんどん運んでもらって」
この日は敦賀を拠点に海ゴミの回収に取り組む「チームクリーンブルー」の清掃イベントが開かれました。ボランティアで参加した地元の高校生たちも流れ着いたさまざまなごみに驚いた様子。
■参加者
「(Q.何を拾ってる?)畑に野菜の種を植えるときに使うやつ。なんでこんなもの流れて来るのだろう。畑もないのに」
■参加者
「(Q.韓国、読める?)読めます。漁具?漁業って書いてある」
さらにはこんなものも…。
■アノミアーナ 上塚千夏さん
「使い終わった注射器。とても多かった。この砂の下にたくさんあるかも」
ごみ拾いを始めてから1時間。大きな山が出来上がりました。そのほとんどが日常生活から出たごみです。
■参加者
「海が汚れている実感が湧いてきた」
■参加者
「中国とかいろんな国からごみが流れ着いているのを見て、日本からも流れると聞いたので怖くなった。ごみはちゃんと分別して捨てようと思う」
若狭湾一帯で環境保全に取り組む団体では、海ごみをサングラスやボールペンなどに再生して、新たな資源として循環させる取り組みも進めています。
■アノミアーナ 前田和代副代表
「(福井県は)リアス海岸なので、打ちあがったごみが流れ出にくい。この時期一番ごみが流れつきやすい。誰かがごみを拾うことにフォーカスするのではなく、取り組めることがいろいろあると思うので、この現状を知ってもらうためにまず一度海岸に来て欲しい」
ウミガメから出てきた大きなビニールに、若狭湾に漂着する大量のごみ。今一度、海ごみ問題を考えるきっかけにしたいものです。
なお、環境省によりますと、福井県は冬の寒波や対馬海流などの影響でごみが漂着しやすい地域となっていて、2022年度に県内の海岸で回収した人工物のごみの量は628トンと全国で6番目の多さとなっています。