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【警固断層】活断層の上に暮らすリスクと備え 県は死者1000人以上と想定 液状化は内陸部でも 福岡県西方沖地震から19年

2024年3月20日 18:38
【警固断層】活断層の上に暮らすリスクと備え 県は死者1000人以上と想定 液状化は内陸部でも 福岡県西方沖地震から19年
液状化のリスクは内陸部でも

2005年、福岡市などで最大震度6弱を観測した福岡県西方沖地震から20日で19年です。福岡市は都心部に警固断層が走ります。活断層の上に住む私たちが抱える「地震のリスク」について考えます。

19年前の3月20日午前10時53分、福岡県西方沖を震源とするマグニチュード7.0の地震が発生しました。

福岡市中央区や東区などで震度6弱を観測し、1人が死亡、1000人以上がケガをしたほか、多くの建物に被害が出ました。

地震はいつどこで起きてもおかしくありません。元日の能登半島地震では石川県内灘町で大規模な液状化が発生し、道路や住宅などが深刻な被害を受けました。

この液状化現象は、福岡県西方沖地震でも発生しました。当時、福岡市早良区百道浜では駐車場や道路など広い範囲で泥が浮き出ました。このほか、博多湾の沿岸部の埋立地でも液状化現象が見られました。

人口の増加が続き、福岡市ではいたるところで高層マンションの建設が進みます。その真下を走っているのが「警固断層」です。

警固断層で地震が起きた場合、福岡市中心部は震度6強の激しい揺れに襲われるとみられ、福岡県は死者1000人以上と想定しています。

警固断層の地震で、再び液状化は発生するのでしょうか。

■福岡大学工学部・村上哲教授
「私は発生すると思います。」

こう話すのは、地盤工学が専門の福岡大学工学部・村上哲教授です。村上教授が指摘したのは、液状化が発生する“場所”についてです。

■村上教授
「誤解されないように、臨海部だけでなくて内陸部にも存在しています。」

液状化の危険度を色分けで表示する国土地理院の「重ねるハザードマップ」を見ると、確かに沿岸部以外にも、福岡市内各地から筑後地方にかけて、液状化の危険度が「極めて高い」ことを示す赤い色が表示される地域が点在しています。

■村上教授
「例えば、ため池のような池を埋め立てた場所とか、田んぼや湿地を埋め立て宅地にした場所。そういった広い意味での埋立地では、液状化の被害が過去でも報告されています。」

これまでの地震で、液状化が起きなかった地域も油断はできません。

■村上教授
「ある程度の地震動が加わらないと、液状化しやすい層でも液状化しない。あるレベルの揺れの大きさになると、今まで大丈夫だったのが突然、液状化してしまうというのが、液状化の厄介なところです。」

もう一点、液状化で注意しないといけないのが“距離”です。こちらは、能登半島地震で発生した液状化の様子をとらえた映像です。この映像が撮影されたのは、なんと、能登半島地震の震源地からおよそ170キロ離れた新潟市です。

■村上教授
「マグニチュードが大きい地震ほど広範囲に地震動を伝える。大きければ、広範囲で液状化が起こるような地震動が伝わっていく。」

ひとたび発生すれば、液状化は復旧の大きな壁となります。村上教授は、自分が住む地域の液状化のリスクを知ったうえで、専門家に意見を聞くなどとれる対策をしてほしいと話していました。

ひとたび液状化が起きればどんなことが起きるのでしょうか。

福岡大学の村上教授によりますと、道路や地下の水道管などが破壊され、復旧には多くの場所で1年から2年を要します。被害が大きなケースでは、5年ほどかかったこともあるということです。

村上教授は、ハザードマップで自分が住む地域のリスクを把握するとともに、不安があれば国登録の資格である「地盤品質判定士」に相談するのも一つの方法だと話しています。

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