広島県の転出超過が3年連続で全国最多… 広島県への転入者増加に向けてできることを徹底プレゼン! 【アナたにプレゼン・テレビ派】
広島テレビのアナウンサーが気になるテーマを自ら取材してお伝えする『アナたにプレゼン』。宮脇靖知アナウンサーが、「広島県の人口移動の転出超過」についてお伝えします。
広島県の転出超過は全国最多…しかし…!
総務省が発表した人口移動の転出超過、つまり、入ってきた人の総数よりも、出た人の総数が多いということで、広島県が3年連続で全国最多となりました。これに対して広島県の湯崎知事は、「この数字は歪んだ統計で、数字に何の意味があるのか、よくわからない。」という発言をしました。
転出超過は、「住民基本台帳人口移動報告」という総務省が出している数字で、住民票を基に国内の人口移動を示したものです。2023年、広島に転入した人は4万4000人余りで、広島から出た人は5万6000人余りとなり、1万1409人が転出しました。この転出超過が3年連続となり、しかも、前の年よりも2200人余り多くなっていました。
なぜ、この数字を湯崎知事が問題視するのでしょうか。ポイントは、「国内の住民票の移動」のみで判断していることです。湯崎知事は、「広島には、海外から外国人が入ってきて、その一部が県外移動をしている。」と主張しています。海外から来て、広島で住民登録をした段階からカウントされるので、実質入ってきた人数は含まれていません。つまり、「住民票を登録した人が転出した人数がカウントされるので、実態を表していない」としています。
広島県としては、重視するのは「社会動態」という、国内から国外、そして国内から国外に出た人、その出入りも含めた数字です。そうすると、海外から広島に入ってきた人は、およそ1万9000人余りで、広島から海外に出た人は、およそ7600人余りです。これに関しては、1万1764人の転入超過で、全国で8番目の数字です。先述の転出超過を差し引いても、355人の転入超過なり、広島が全国で一番多く人が流出しているのとはならないと言えます。
社会経済的な影響を大きくする若者の移動
湯崎知事は「日本人だけで見ても若い人の県外移動が多いのは事実。今後、若者の転出が拡大すると考えており、地域経済の縮小や、社会負担がの増大により、社会経済的な影響が出てくる」と捉えています。数字だけで見ると、20代の県外への移転が実際多くなっています。
対策として、来年度の当初予算で、2つの予算を組んでいます。若い人たち、特に進学・就職をする際に、広島を選んでいる理由を調査し、大学生などが広島県内に就職しやすいように、学校内での業界・企業の説明会やインターンシップ、さらに転入を促したいとしています。そのため、東京圏の学生には、就職活動のための交通費も支給できるように、予算も組むことにしています。
広島県に転入を促す3つの可能性
今回の課題に関して、公共経済学を専門とする広島経済大学教授の中嶋則夫さんは、広島における3つの可能性として、「文化的な魅力」「余暇の充実度」「就業の機会」を充実させることによって、転入を促すこともできるのではないかと話しています。
<文化的な魅力>
「文化的な魅力」として、広島は平和都市で外国人が多いので、国際交流の機会も多いライフスタイルを送ることができる場所であることを、しっかりと示していくことで、海外の人と交流するなら、大阪・東京と考えている人たちの希望も叶えられるとアピールできます。
<余暇の充実度>
「余暇の充実度」として、学校に行くことや働くこと以外に、広島で休みの時間をどう使えるのかということが、非常に重要になってきます。そうすると、海や山のレジャーや、カープにサンフレッチェ、ドラゴンフライズといったスポーツの魅力があると、生活にいい影響が出ると感じられ、移転する可能性も出てきます。地域に根差していくことで、ビジネス化すると、就業のチャンスも生まれてきます。
<就業の機会>
アメリカの半導体大手「マクロンテクノロジー」が、東広島にも巨額の投資をするという計画があります。「就業の機会」も増えることによって、最終的には、関東や関西で就職せず、広島でも十分と思える魅力を作っていくことが、解決策の1つとして、大事になってくるということです。
【テレビ派 2024年2月5日放送】