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【渋滞都市】熊本の渋滞を公共交通から検証 あの道路にバス専用レーン導入も

2024年5月15日 20:07
【渋滞都市】熊本の渋滞を公共交通から検証 あの道路にバス専用レーン導入も
「抜け出せ!渋滞都市」
全国的に見ても深刻だと言われる熊本の交通渋滞について、KKTが徹底取材して伝えるシリーズ企画です。
これまでKKTでは、熊本市が政令指定都市の中で渋滞ワースト1位という実態や、極度のマイカー社会であるという背景を深堀りしお伝えしてきました。

全国的に見てもまさに「渋滞都市」。実はこの渋滞に関して先日、熊本市の大西市長がこんなことを言っていたんです。

■熊本市・大西一史市長
「1割の方が自家用車から公共交通に乗り換えていただくだけで渋滞は半減するというような検討結果も出ていますので、それがそのように実証できるように我々としては積極的に公共交通の利用を進めていきたい」

渋滞都市を抜け出すためのきょうのテーマは、「公共交通」についてひも解いていきます。
まずはJRと熊本電鉄、熊本市電の路線です。熊本電鉄は熊本市から合志市へ、JRは南北に走っています。
熊本市電は熊本市内の中央を通っていますが、人口の多い東区はあまりカバーできていませんね。

熊本市電の路線図をみてみると、田崎橋~健軍町と上熊本~健軍町の2系統(全長12.1キロ)で、どこまで乗っても均一運賃おとな180円です。

一方、バスの路線がこちら!

熊本都市圏のバス系統を落とし込んだ地図です。熊本市内を中心に広い範囲をカバーしているように見えますね。県内にはバス会社が5社あり、熊本市だけで約250系統。このうち240系統ほどが通町筋と桜町バスターミナルを通るルートに集約されています。路線バスも運賃は熊本市中心部に限りおとな180円均一ですよね。

熊本都市圏での1日の利用者数を見てみると、バスは5社で5万人あまり、熊本市電はのべ2万人あまりです。JR九州(3万4000人)や熊本電鉄(3200人)とあわせると、1日にのべ10万8500人が公共交通を利用している計算です。この人数を見ると多くの人が公共交通を利用しているように思えますが…。

平日、どの交通手段を利用するか調査したところ、熊本市では車が61.2%と政令市の中でトップ。逆に公共交通は4.9%と最も少ない結果となりました。公共交通ではなく車を使う人がいかに多いかわかります。そんな車社会の熊本でどうしたら渋滞を緩和できるのか?交通渋滞や公共交通の専門家に話を聞きました。

話を聞いたのは、地域交通計画や交通まちづくりが専門の熊本学園大学経済学部の溝上章志教授です。
熊本市中央区で行ったある調査の結果が渋滞緩和のヒントになるといいます。

■熊本学園大学経済学部・溝上章志教授
「10%交通量を減らせば速度は3割増えて、その分渋滞損失時間は約半分になるというようなことが言えます」

わかりやすい数字で説明すると、ある区間を100台の車が通行する際の渋滞による損失時間を「100」とします。同じ区間を走る車が1割減って90台になった場合、車の速度が3割上がり損失時間は「55」と約半分になるというんです。

■溝上章志教授
「車の利用を減らしてあげる。そのためには公共交通機関を便利にして公共交通機関に乗り換えてもらうということが必要」

ではどうすれば車から公共交通に移行できるのか。特に熊本市中心部の交通を担う熊本市電とバスについて考えてみます。

こちらは熊本市電の利用者数の推移です。過去45年横ばいで、コロナ禍で減ったもののここ3年はやや増加に転じました。
朝のラッシュ時の乗車率は約103%です。乗れない人=いわゆる「積み残し」が課題となっています。

一方、バスの利用者数は驚くような推移をみせています。約50年で5分の1まで激減しているんです!
なぜバスを使わないのか?街の声を聞いてきました。

■街の人
「バスが通らないんですよ家の近くを。(バス停まで)歩いて10分~15分くらい」
「時間選ばずにパッと乗れたらいいなと思う15分20分に1本、10分に1本あればいいな」

さらに、路線が桜町バスターミナルに集結する現状にこんな意見も…。

■街の人
「乗り継ぎが大変ですね。時間と時間が合わなかったり」

運行本数や利便性に不満を感じている人が多いようです。バスの多くが時間通りに来ないと指摘する声も耳にします。バスの定時性=時刻表通りの運行を実現するために、熊本市は、通称産業道路の九品寺交差点から国体道路の日赤病院までの区間を優先候補に「バス専用レーン」の導入を検討しています。

熊本市はこの全区間にバス専用レーンを設けた場合、バスの利便性が高まり朝の通勤を車からバスに切り替える人が増えることで交通量が減ると見込んでいます。その結果、平均所要時間が14分短縮し、これまで400メートルだった保田窪北交差点の滞留の長さが約230メートルまで短くなると試算しています。

一方、熊本市電は朝の通勤時間帯の「積み残し」解消に向けて、10年ぶりとなる新型車両を今年度中に導入すると発表しました。現在の1.5倍の乗客を運べる3両編成で、1編成約4億5000万円。2030年度までに12編成を導入する計画です。さらに、これまで十分にカバーできていなかった東区の健軍町から市民病院方向に約1.5キロ延伸する計画も進めています。そしてこんな実証実験の結果も!

■バス・市電無料の日
熊本市がおととしから行っている「バス・電車無料の日」という実証実験。期間限定で料金を無料にした結果、前の週と比べて公共交通の利用者が1.7倍に増加し渋滞の距離は約1割減ったといいます。
車から公共交通への転換を呼びかけている溝上教授にこんなことを聞いてみました。

■永島由菜アナウンサー
「渋滞を減らすために私たちができることって何がありますか?」

■熊本学園大学経済学部・溝上章志教授
「皆さん10回に一回ぐらい、あるいは10人に一人『きょうは公共交通で来ようよ』とか、そういう運動なり意識の変化というものをしてもらうと、日本で一番交通混雑ポイントが多いと言われている熊本もドラマチックに変わるだろうというふうに想像できるし、そういう都市になってほしいなというふうに思います」

1人1人の工夫で、皆さんの道路事情やストレス緩和に繋がります。皆さんも試しに、公共交通を利用してみてはいかがでしょうか?

KKTでは今後人口が増加している菊陽町や合志市を通るJR豊肥線や熊本電鉄についても検証していきます。

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