知事には共有せず?テレビ熊本関連会社の助成金不適切受給「社名非公表条件に返納」記載の行政文書
熊本県の旅行支援事業をめぐるTKUテレビ熊本の関連会社、TKUヒューマンの不適切受給問題で、助成金の返納についてTKUヒューマン側から「社名を公表しないことを条件に返納の申し入れがあった」と書かれた行政文書が、蒲島熊本知事まで共有されていなかったことが分かりました。
この問題は、テレビ熊本の関連会社、TKUヒューマンが販売したタクシー券を使った旅行商品で不適切な受給の疑いがあり、県の幹部がこの疑いを見逃すよう指示したなどとする外部通報があったものです。
TKUヒューマンをめぐっては、タクシー券とは別に「市電の周遊券」を使った旅行商品で約2500万円の不適切な受給があったことが明らかになっています。
外部通報をした関係者の代理人弁護士が第三者調査委員会に提出した資料によりますと、今年1月、TKUとTKUヒューマン、旅行支援の事務局を担うJTBが不適切受給に関する協議を開き、その場でTKUとTKUヒューマンのの幹部から「名誉だけはお金を払ってでも守りたい」、「マスコミの実名報道は絶対に避けて欲しい」、「今の話をお約束いただけるようであれば自主返納する意向」などの発言があったとしています。
県とTKUヒューマンは今年4月、「社名非公表の申し入れはなかった」と否定していますが、協議の後で県の担当課が作成した行政文書には「TKUヒューマンから社名を公表しないことを条件に返納の申し入れがあった」と明記されています。そして、この文書の配布先として「知事」や副知事、関係する県の幹部も記載されていました。
しかし、20日に取材に応じた蒲島知事は…。
■蒲島郁夫知事
「報告書については一切分からない。私自身は、そのような形でそういう要求も受けたこともないし、文書があったことも知らない。文書が公的なものではないと知事まであがってこないのは、そういうことだと思うし、メディアでの報道で知ったのが現状です」
実は、重要な行政文書にも関わらず、知事に届いていなかった可能性が。KKTが情報開示請求を行い、同じ文書を入手したところ「TKUヒューマンから社名を公表しないことを条件に返納の申し入れがあった」と記載されている部分が黒塗りに。さらに、配布先に二重線が引かれ、余白に手書きで「知事には伝えない」、「結果として両副知事と公室長、観光戦略部長で共有」と書かれていました。
観光戦略部の担当者は、報道陣からの質問がどの文書の話か分からないとした上で、「審議途中の資料であれば、その時の段階で見る人も変わる。知事まであがらなかったのは、再整理が必要だったという認識」と話しています。
また、配布予定だった知事に行政文書を配布しなかった理由について、文書を作成した県の観光振興課は、KKTの取材に対し「第三者委員会の調査中なので、今はコメントできない」と話しています。
一連の問題について、「誠実に対応する」と明言している蒲島知事。真実は明らかになるのか、知事の覚悟が問われています。