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復興へ「はっけよい!」伏木で相撲大会 地震からの復興 祈りを込め

2024年5月14日 19:13
復興へ「はっけよい!」伏木で相撲大会 地震からの復興 祈りを込め
能登半島地震で大きな被害を受けた高岡市伏木地区で5月5日、復興を祈願する相撲大会が開かれました。

企画したのは、自らも被災し避難生活を送る地元の男性です。

困難を抱えながらも地元を勇気付けようと動いた男性の思いを取材しました。

「おー、いいぞいいぞ」

5月5日、伏木小学校の相撲場で行われた相撲大会。

相撲好きの住民らでつくる伏木相撲愛好会が、地震からの復興を祈願して開きました。

「♪変わり果てたる我が郷土♪、ハー、ドスコイドスコイ」

会場では、相撲甚句の披露や地元力士による公開稽古、そしてちゃんこ鍋の炊き出しなども行われ、訪れた被災住民らが楽しいひとときを過ごしました。

白熱した取組が繰り広げられる中、土俵上でひと際目立つ巨漢の男性。

このイベントを発案した大関・桶ノ谷こと桶谷知生さんです。

桶ノ谷こと 桶谷知生さん
「いやあ、見た瞬間ぼう然としましたね、あー沈んどると思って(苦笑)」

1月1日に発生した能登半島地震。

高岡市伏木地区では液状化現象により道路や家屋に被害が相次ぎました。

地区の中心部にある桶谷さんの自宅も地盤が大きく傾いて「大規模半壊」と判定されました。

桶谷知生さん
「感覚的には坂ですわ。(部屋の)端から端で大体30センチ位傾いとるもんで、気持ち悪いですわ」

2023年8月に結婚したばかりでしたが、互いの実家で離ればなれの新婚生活を余儀なくされています。

4月7日、相撲愛好会は2024年初めての稽古を行いました。

地震の影響で例年より1か月遅れ、30人あまりいる力士のうち参加したのはわずか5人でした。

龍鵬こと 木谷正寿さん
「ちょっと少ないね(笑)、いつもやったら倍おる」

Q地震の影響は
正剛こと 高橋正剛さん
「それはあるでしょうね、どうしても出てこいとは言えないですよね」

伏木地区では1900世帯のうちおよそ500世帯が被災しました。

愛好会にも被害を受けたメンバーが数多くいます。

自らも被災した桶谷さん。

今できることを考えました。

桶谷さん
「大会までいかんでも、被災した人を元気づけるでもないですけど、震災の復興を祈願して何か活動できんかと…」

愛好会では毎年9月に相撲大会を開いていますが、桶谷さんはいちはやく地元に元気を届けたいと5月連休中の復興イベントを提案しました。

しかし、メンバーからは開催に慎重な意見も。

結乃洋こと 水野洋一事務局長
「基本的には賛成、(しかし住民からは)こんなにひどい目にあったのに、片方で何しとんがよという考え方なり意見なり出てくんがやちゃね」

高橋正剛さん
「地震で皆さん家が大変だと。駒王はそれは辞退させてほしいという話しだったよね」

駒王こと國分康弘さん。

自宅が液状化した影響で現在は地区外で避難生活を送っています。

以前は落ち着かない状態で相撲を取ることに気乗りしませんでしたが…。

駒王こと 國分康弘さん
「(前の会議では)そんな余裕ないからと言ったんですけど、家も決まってちょっとずつ前に進んでる状況で、まあ5月なら体空くかな」

國分さんは、桶谷さんと小学校からの友人。

同じ避難生活を送る身として、親友の想いに応えずにはいられませんでした。

桶谷さん
「人が元気なの見るとこっちも気持ちが上にむいたりだとか前むいたりいうのは、少なからずあると思うので、街の中の人間が元気出してやっていけば、他の人にも波及していくんじゃないかな」

そして…地震から4か月余り。港町の土俵に笑顔の輪が広がりました。

被災した住民
「皆さん元気な顔で集まるのは大変結構なことじゃないかと思います」

別の被災した住民
「しばらく地震の後は精神的におかしくなりましたけど、(相撲見たら)平穏で楽しく過ごせます」

桶谷さん
「盛況なうちに終わって良かったです。ちゃんこも好評だったようですし、まあ楽しかったですわ(笑)」

はっけよい、のこった。土俵際での戦いはまだ始まったばかりです。

「負けるか~!負けるか~!」
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