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業界不正告発の男性「通報者保護を」 注目される公益通報制度

2024年9月26日 19:21
業界不正告発の男性「通報者保護を」 注目される公益通報制度

兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラ疑惑などを内部告発された問題をきっかけに公益通報制度への注目が集まっています。制度は、通報者に対して不利益な扱いをすることを禁じていますが、制度の趣旨に反する行為は後を絶ちません。過去に業界の不正を告発して報復人事を受けた高岡市の男性は、現在の制度では通報者の保護が不十分と訴えています。

串岡弘昭さん
「(兵庫県)知事の頭には、公益通報者に関する知識とか理解、それがまったくなかったと」

串岡さん高岡市の串岡弘昭さん78歳です。今から50年前、高岡市の会社に勤務していたなか、業界の不正な闇カルテルを内部告発しました。会社からは30年にわたって昇格や昇給を見送られ、草刈りと雑用だけをさせられる“報復”を受けました。

大きな注目を集める兵庫県知事のパワハラや贈答品受領疑惑では、内部告発した元幹部職員が内部調査で特定され、懲戒処分を受けました。告発内容には事実も含まれていましたが、県は、この内容を公益通報とは認めませんでした。元幹部職員は百条委員会が設置されたあと、死亡しました。自殺とみられています。

串岡さんは、斎藤知事の対応を、「あってはならないことだ」と強く批判します。

串岡弘昭さん
「内部告発者はだいたい1人で、行為に、内部告発におよぶわけですね。事前の、長い自分なりの証拠集めをして確証を得ないとできないわけです。しゅん巡しながら、最後にこれをやらなきゃならないと。組織のトップに立つ人は、『耳の痛いことでも言ってくれよ』ということを示しておく必要がある、県民のために」

公益通報制度とは、勤務先などの不正行為を発見した従業員などが、会社が設置した窓口や行政機関などに通報できる制度のことです。

通報を理由に、通報者に対して解雇などの不利益な取り扱いをすることは、公益通報者保護法違反にあたりますが、違反を疑われる事例は後を絶ちません。

法改正の議論はされていますが、串岡さんは、通報者を守るため議論には、当事者が加わることが欠かせないとみています。

串岡弘昭さん
「もともと(保護法は)不十分なんですけど、まだまだ改正しなきゃならないが。(今後の改正議論には)私は、内部告発者が入るもんだと思い込んでいた、メディアも入ると思い込んでいた、だけどそれを外して検討会をしている。この点を改めてもらいたい」

2023年、問題になった中古車販売会社など様々な企業の不正も、社員による通報をきっかけに明るみになりました。

串岡さんは、社会の利益のためにも通報者を守る制度への見直しが必要だと訴えます。

串岡弘昭さん
「誰も知りえない不法や違法は、組織内にいる人が知っているわけですよ。中にいる人が声をあげてもらわないと、市民社会の健全な発展がないという」

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