記録的猛暑 続く影響への対策は 2023とやま
エブリイでは、2023年の県内に大きな影響を与えた出来事を振り返り、今後に向けた課題を考えます。19日は、記録的な猛暑となった2023年の夏の影響です。
2023年の夏、県内は猛烈な暑さに。8月10日には富山市八尾町で39度ちょうどを観測しました。そして8月は、県内10の観測地点すべてで毎日が30度以上の真夏日となりました。これは観測史上初めてのことです。
打ち水をしていた女性
「もうすごい、溶けるくらい暑いです」
猛暑で影響を受けたのが、酪農です。8月下旬、富山市の牛舎では暑さで座り込んでしまった牛を元気づけようと…
北川牧場 北川清弘さん
「熱中症ですよね。この牛、熱中症になってしまってて」
暑さで牛の体力が落ち、乳の量が減ったため、この牧場では出荷量が減少しました。
北川牧場 北川清弘さん
「2022年、日曜日の27日で言うと、506リットル出荷していたのが、2023年の27日は470リットルしか出荷していない」
さらに、雌牛が妊娠する割合も下がり、2024年以降への影響が心配されます。
そして、県内全域で大きな影響を受けたのが、コメの主力品種・コシヒカリです。
富山市月岡町の専業農家、中島正太郎さん(35)です。2023年は20ヘクタールの田んぼでコメ作りをしましたが…
中島正太郎さん
「2023年の猛暑で、実があまりつかなかったのかなというのはあるんじゃないかなと思います。2023年は本当に品質もそうだし、収量もかなり影響を受けているので、かなりつらいですね」
コシヒカリは。2022年は全て1等でしたが、2023年はほとんどが2等になり、取引価格が下がりました。農林水産省のまとめでは県内全体でも、10月末時点のコシヒカリの1等比率は45パーセント。去年の84パーセントを大きく下回り過去最低の水準です。
コシヒカリは、穂が出る時期と暑さが重なると、コメが白く濁るなどの影響が出ます。中島さんは、2023年は水管理に特に苦労したといいます。
中島正太郎さん
「皆さん入れられたいので、なのでここに来た時には、ここに水入るか入らないかという高さになったこともあるので、一番ほしいときに水がないと、その分、暑さの影響は出てくるのかなと」
コシヒカリと対照的な結果になったのが、暑さに強い品種として開発された富山のブランド米富富富です。
2023年の1等比率は93.1パーセントで、例年と変わらない品質を保ちました。中島さんは2024年の作付について、コシヒカリを減らし、富富富を増やそうと計画しています。
県や各JAも2024年度以降、富富富への転換を進めようとしています。ただ富富富は、栽培マニュアルが厳密に定められていて、栽培拡大への足かせだと指摘されています。また地域により品質や収量に差が出るなどの課題が指摘され、県などが現在、対策の検討を進めています。
中島正太郎さん
「今後は、この暑さになることを前提に私らも動いていかなくてはいけない」
猛暑の影響は12月に入っても続いています。魚津市のリンゴ農家では、実りが例年より遅れたうえ、早生と中生の品種の収穫量は例年の7割ほどに、さらに主力品種の「ふじ」の収穫も減っています。
大澤幸一さん
「対策しなきゃいけない。同じ気候も続いているので…」
地球温暖化が進む中、猛暑はこれからも続くことが懸念されます。農作物の被害、さらに、熱中症など命の危険をどう防ぐのか。対策は待ったなしです。
シリーズ、20日は2023年県内で相次いだ、クマの人里への出没についてお伝えします。