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能登半島地震被災地で 口腔ケアの大切さ呼びかけ 富山の歯科医師

2024年3月8日 19:14
能登半島地震被災地で 口腔ケアの大切さ呼びかけ 富山の歯科医師
能登半島地震の被災地では、全国の歯科医師などが住民の健康を守る支援をしています。

断水している地域では口の中を歯磨きなどで清潔に保つのが難しくなりますが、病気にもつながるため、歯科医師たちは口腔ケアの徹底を呼びかけています。

能登半島地震の被災地では、日本災害歯科支援チーム=JDATが避難所などで口腔ケアを中心とした衛生活動を支援しています。

富山県歯科医師会もJDATとして石川県の輪島市や穴水町などで住民の健康を守っています。

2024年1月。県歯科医師会の山田雅敏専務理事は第一陣として支援にあたりました。

山田雅敏医師
「(断水で)蛇口から水が出ませんから、十分やることができないというか、普段より少し汚れが多いかなという状況は、どの方々にもあるんです」

被災地は断水によって水が不足します。しかし歯を1日磨かないでいると口の中の細菌は、10倍にも100倍にも増えて、肺炎になるリスクが高まります。

山田医師
「口の中にたまった細菌が、唾液と一緒に気管から肺に入っていく/肺には菌を殺すバリアはそんなにないもんですから、そこでそこに定着すると肺炎を起こす」

これが誤えん性肺炎です。

山田医師
「避難所で、体力も弱っている免疫力も弱っている活動が弱っている人が、特にお年寄りがここで肺炎を起こす、これが一番怖いんです。口の中をきれいにさえすれば防げる災害関連死なんです。その災害関連死を少しでも少なくすることが我々に与えられた災害時の使命であると考えています」

こちらは、1995年の阪神淡路大震災での災害関連死を死因別に示したグラフです。死因のうち、およそ4分の1と最も多いのが「肺炎」です。その半数以上が、口の中が清潔に保たれなかったことが原因の一つとみられています。

山田さんは、能登半島地震の被災地では避難所によって、口腔ケアに対する意識に温度差があったと話します。

山田医師
「口をきれいに普通に口腔ケアをするのが一番ですけど、それが出来ない状況の時は、ただぬぐうだけ、もしくは唾液を出すと」

水がない場合は、口の中をきれいにする働きがあるだ液を増やすためにマッサージをしたりシュガーレスガムをかむのも効果的です。

現在は、指にシートを巻きつけて汚れをふき取るタイプのものや、水がなくても磨ける小型の歯ブラシなど様々な口腔ケアグッズが市販されていて、県歯科医師会でも被災地に提供しています。

山田医師
「口の健康は、全身につながるということを、普段から意識していただいて、非常時においても、それが意識から離れずに、自分の命を守ることができるということになると思いますので、普段からの口腔ケアの習慣はやはり大事かなと思います」

富山のチームは珠洲市など歯科医療が復旧していない地域で活動を続けるということです。
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