鍋が恋しいこの季節…北海道を代表する郷土料理に新機軸!?あなたの知らない「石狩鍋の世界」
鍋料理がおいしい季節になりました。
全道各地には地域が誇る鍋料理は数多くありますが、旬のサケを使う鍋といえば「石狩鍋」です。
そもそも石狩鍋のルーツとは?
そして、石狩鍋を盛り上げようという地元のユニークな動きとは?
知るほど奥深い「石狩鍋の世界」です。
毎年9月の一大イベント「石狩さけまつり」。
ことしもこの賑わい!
2日間で実にのべ7万6千人が足を運びました!
販売開始を今か今かと待ちわびるひときわ長い行列!その先にあるのは…
石狩といえば…そう!石狩鍋です!
(スタッフ)「名物ですから、石狩の一大名物」
(鷲見記者)「さけまつりの名物・石狩鍋の提供がはじまりました。早速多くの人が受け取りに来ています」
1杯100円!
千人鍋で作る「石狩鍋」は、この祭りの一番の名物です。
本場の石狩鍋はやっぱり一味違う!
(来場客)「おいしいです」
(来場客)「(サケが)ゴロゴロ入っていてすごいおいしい」
そもそも石狩鍋はどうやってできたのでしょうか?
いかにも歴史ある風情の石狩市「金大亭」に、そのルーツがありました。
(金大亭4代目女将 石黒聖子さん)「漁師が味噌汁の中にサケを入れて食べていた賄い料理なんですね。それをきちっとした形で出すようにしたのはうちが初めてです。ベースになる野菜が玉ねぎとキャベツです。サケは身とあらと、中骨を使っています。あと一番大事なのは山椒ですね。山椒を入れることで生臭みが無くなって、みそのとんがった味がまろやかになる」
これこそ本場の「石狩鍋」です。
祭りでは1000人分が2時間で売り切れになるほど、圧倒的人気の郷土料理ですが…
番組が道民5767人に聞いた「鍋料理総選挙」では…8位。
鍋が美味しいこの季節。
実際、マチで声を聞いてみても…
(マチの人)「石狩鍋とか三平汁は知っているけど作らないかも。鍋のもとがあったら作るけど、最近サケ高いし」
(マチの人)「そもそも何が正解なのか分かっていない」
(マチの人)「作り方が分からないのと、店で食べるイメージ。家庭的な感じがしない」
(マチの人)「難しそうなのと、味の正解がよく分からないです」
少し影が薄い?石狩鍋を巡って、実はいま面白い動きが起きています。
(石狩シェアハピシティ計画 河田寛史さん)「石狩鍋には何が入っていますか?」
(小学生)「サケ!」
石狩市に住む河田寛史さんは、地域を盛り上げようという団体を結成・活動しています。
一番力をいれているのが「石狩鍋」です!
(石狩シェアハピシティ計画 河田寛史さん)「いろんな鍋があるので、その中で石狩鍋を選びますかとなったときに、選ばれないというのがある。みなさんに選ばれる石狩鍋を作ったらいいんじゃないかと思って、新しい石狩鍋を作りました」
この日は地元の小・中学生や技能実習生と「新しい石狩鍋」を作るというのです。
そう!新しい石狩鍋のカギを握るのは石狩特産のミニトマト!
見た目も色鮮やかな令和の石狩鍋…とも言うべき、その名もー
「石狩シャケナベイベー」です!
そこには、河田さんの並々ならぬある思いがこもっています。
(石狩シェアハピシティ計画 河田寛史さん)「若い人が食べていないということは、当然20年30年すると誰も食べなくなるのかなと思う。まずは若い人たちの味覚に合うような石狩鍋を提供できないかというところで、アレンジ石狩鍋・石狩シャケナベイベーのレシピづくりから始めた」
(小学生)「おいしい。今まで作った中で一番おいしいかも」
(技能実習生)「おいしいです。もう一回作ります!」
河田さんの狙いは当たったようです。
若い世代に「石狩鍋」を広めたい。
熱い思いを胸に秘める河田さんに、千載一遇の好機が到来しました。
日本文化を専攻している東京の大学生たちが、授業の一環で石狩を訪ねてきたのです。
もちろん、石狩鍋発祥のあの店にもご案内。
(石狩シェアハピシティ計画 河田寛史さん)「建物自体も日本遺産に登録されている。そこで食べられるのはなかなかない。ぜひ堪能していってください」
いまから61年前・1963年の石狩の映像がSTVには残っていました。
(1963年の映像)「漁師は川を通せんぼするように網を投げています。網は地引」
当時の浜には、サケ漁を見物する観光客が全国から訪れました。
その時にふるまわれたいわゆる「漁師飯」が、郷土料理となったのです。
(石狩シェアハピシティ計画 河田寛史さん)「当時は石狩鍋じゃなくて大鍋と呼ばれていた」
(金大亭4代目女将 石黒聖子さん)「まさに大鍋です」
(金大亭4代目女将 石黒聖子さん)「初めてですか?石狩鍋は」
(大学生)「初めて食べてみて、味噌の味のやわらかさとサケのふわふわ感がすごく衝撃的でした」
(金大亭4代目女将 石黒聖子さん)「朝獲れたばかりなのでね」
(大学生)「とてもおいしかったです」
(金大亭4代目女将 石黒聖子さん)「うちに来てこんな味だったと驚く方が多いので、今後全国的に皆さんにお知らせ願いたいと思います」
(大学生)「こんなにおいしいものが無くなってしまうのはもったいないので、いろんな人に食べてもらいたいと思う」
河田さんが温めている計画がもうひとつ。
(石狩シェアハピシティ計画 河田寛史さん)「見覚えがある。めっちゃいいじゃん。これがレギュラー化するかどうかっていうね。頑張らないと」
そう!あの「シャケナベイベー」の鍋つゆの販売です。
試行錯誤に費やした歳月3年。
2024年10月、ついに商品化。
販売にこぎつけました。
(どさんこプラザ札幌店 菊池拓人さん)「ポップなどをつけて、目につくようにしてもらえれば、商品としてはうちにはない商品なので、これを機にレギュラー化してもらえれば」
(石狩シェアハピシティ計画 河田寛史さん)「何とかレギュラー化できるように売っていきたい。よろしくお願いします」
名前は知っているけれど食卓にはあまりのぼらない。
そんな「石狩鍋」のイメージ…
鍋が恋しいこの季節、覆されようとしています!