“生きる力を信じる” 聴くことに徹する「いのちの電話」 命を救う相談ダイヤルが存続の危機

「2万1,818人」これは全国で2023年度、自ら命を絶った人の数です。
生きることに迷いが生じた人を救ってきた相談ダイヤル「いのちの電話」。
「電話」の持つ力…その活動と、いま直面する危機に密着しました。
(相談員)「もしもし、北海道いのちの電話です。ようやくつながった、何回もかけてくださったんですね」
この日もひっきりなしに鳴る「いのちの電話」。
電話の向こうから聞こえてくる声を受け止める。
“傾聴”に徹するいのちの電話です。
この日電話をかけてきたひとり暮らしの高齢女性は、数日後に大きな手術を控えていました。
20分に及ぶ相談のあと、落ち着いた様子で電話を切ったといいます。
(相談員)「ご自身の不安や心配を言葉にして電話をかけることは、すごく勇気のいることだと思うんです。でもそれをしてまで電話をして誰かに聞いてもらいたい思いを受け止めたい」
1979年、札幌に開設された北海道いのちの電話。
24時間・365日電話の向こうの声に耳を傾けています。
事務局長の杉本明さんです。
相談員は、交通費すら無報酬のボランティアだといいます。
(杉本明事務局長)「いのちの電話は一般市民のボランティア活動。ここで理論的なことを座学で学ぶので、研修で十分。資格はまったく不要」
(記者)「僕らでも相談員になれるんですか?」
(杉本明事務局長)「なれるんです」
相談員になるための研修会です。
研修委員も務める杉本さんが相談員の役。
(相談者役の受講生)「すごくイライラしてきて」
(杉本明事務局長)「なんかそういうふうな思いがイラつきにさせてしまう、そんなことなんですね」
受講生は、相手の相談に耳を傾ける「傾聴」を学ぶのですが、簡単なようで難しいことに気付かされます。
(受講生)「話をそのまま聞く、肯定も否定もせずにそのまま受け止める、聞くというのは難しくて」
(受講生)「沈黙の時は本当にどうしようどうしよう、それしかなくて」