【特集】運動会などを撮影する「学校カメラマン」 課題は人手不足 子どもたちの思い出を収めるため駆け回る姿に密着 《新潟》
運動会や修学旅行など学校行事で活躍する「学校カメラマン」。
高齢化などで人手不足が深刻だといいます。子どもたちの思い出を収めるため駆け回る学校カメラマンに密着しました。
生き生きとした姿、なにげない瞬間をフレームに切り取ります。
Q写真撮ってもらってうれしい?
児童「うれしい!」
学校カメラマン 西脇 拓さん
「気軽に笑顔を向けてくれる立場でいたい」
新潟市の女池小学校。
この日は、年に1度の運動会。
全力で走る子どもたちに、大きなカメラを向ける人の姿が。
西脇拓さん、学校と契約し運動会や修学旅行などを撮影する「学校カメラマン」です。
西脇 拓さん
「きょうは2000枚とか3000枚くらいになるのかなと思います」
子どもたちの思い出を収めるやりがいのある仕事。しかし今、ある悩みを抱えています。
西脇 拓さん
「きょうは14校、運動会がかぶっているので、カメラマン集めが本当に大変でした」
特定の時期に集中することがある学校行事。
例えば春は入学式や卒業式、5月から6月は運動会や修学旅行。
多くの学校から仕事を請け負うためひとりで撮影できずほかのカメラマンを探します。
しかし。
「人手不足」
西脇 拓さん
「県内だと十日町とか佐渡からも来てもらっています。県外も東京と福島から来てもらっています。後継者がいないこととか、新たに若い人がなかなか入ってこない業界なので、人手不足ですね」
東京商工リサーチの調べによると去年1月から8月、「写真店」の倒産は過去最多に。
カメラマンの人手不足が深刻となっています。
背景のひとつはスマートフォンの普及。
「撮影」が身近になったことが要因のひとつと考えられます。
新潟市東区で写真スタジオを運営する田中大輔さん。
ポートレートや学校での撮影をメインに活動しています。
田中 大輔さん
「スマホで自然な表情が撮れるという利点もあるんでしょうけれど、我々だからこそ撮れるというのもあるし一長一短」
卒業アルバムの制作も請け負う田中さん。レイアウトには気を付ける点があるといいます。
田中 大輔さん
「特に小学校の場合はお子さんが何回出てくるかが、かなり重要視されます。表情の良い写真とか、良いカットを選ぶんですけれど、先生に見せた時に全部チェックしてもらって『この子が多いので差し替え』というのは結構あります」
スマホでは表現できない1枚を撮影したいと考えています。
田中 大輔さん
「親御さんの行けない修学旅行も、我々だからこそ、すぐそばまで行って撮影できる」
学校カメラマンの西脇拓さんです。児童が写真を選ぶ「体験型」の卒業アルバムづくりを提案し、写真をより身近なものにしようとしています。
西脇 拓さん
「iPadを見ながら写真選びをして欲しいと思っています。本当に簡単にできるので、皆さんに苦労はかけません」
学校という場所での撮影は、事故などが起きないよう、時に慎重な対応が求められることも。
西脇 拓さん
「写真業というよりは、企業として学校とどういう風に関わっていくかも試されている」
子どもたちの中に溶け込みシャッターを切る西脇さんの存在は学校にとって欠かせない存在になっています。
児童
「光の当て方とか角度とか自分の知らないことやできないところを撮ってくれる」
「自分も将来やりたいなと思いました」
西脇 拓さん
「子どもたちの良いところ、活躍しているところを、いっぱい見つけて残していくのが地域の写真館としてプロの仕事。違いを見せるという意味では私たちも引き続き頑張っていかなければならない」
高齢化や担い手不足に直面する「学校カメラマン」。
それでも、子どもたちの思い出の1枚を残すため、きょうもシャッターを切っています。
2024年6月28日「夕方ワイド新潟一番」放送より