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無罪主張の男に「死刑」求刑 検察「うそのストーリーで証拠と矛盾あればその都度上塗り」 大分強殺

2024年6月17日 18:59
無罪主張の男に「死刑」求刑 検察「うそのストーリーで証拠と矛盾あればその都度上塗り」 大分強殺

2020年、大分県宇佐市で起きた強盗殺人事件の裁判員裁判は大分地裁で17日結審し、検察側は死刑を求刑しました。

一方で弁護側は改めて無罪を主張しました。

大分地裁の裁判員裁判で死刑が求刑されるのは初めてです。

◆佐藤被告(17日)
「僕は犯人ではありません。僕は無実です。僕も被害者だ。犯人がとても憎いし捜査側も憎い」

大分地裁で開かれた強盗殺人事件の裁判員裁判。
被告の男は最後に裁判長に問われると、このように述べて改めて無罪を訴えました。

強盗殺人などの罪に問われているのは大分市の会社員佐藤翔一被告39歳です。
起訴状などによりますと佐藤被告は2020年2月、宇佐市安心院町の住宅に侵入し、住人の山名高子さん79歳と長男の博之さん51歳を殺害した上、現金8万8000円を奪ったとされています。

事件発生からおよそ1年8か月後に佐藤被告は逮捕され、5月20日に裁判員裁判が始まりました。

裁判で、検察側は佐藤被告には借金があり2人を包丁などで何度も突き刺して殺した上、現金を奪ったなどと指摘。
さらに、事件当日佐藤被告が運転していた車から被害者のDNA型と完全に一致する血痕が見つかったとしています。

一方で弁護側は「ユーチューバー」を名乗るプロレスマスクの男たちと事件当日に合流し、1人を車に乗せて現場近くに向かったと主張。
被告は事件に巻き込まれた可能性があり、真犯人に陥れられたなどと指摘しています。

初公判からおよそ1カ月。17日の法廷では被害者遺族が、一緒に食事や映画を楽しんだことを振り返り「この先も家族との当たり前の生活が続くと思っていた」などと悲しみを語りました。

論告で検察側は、「被告の主張は言い逃れのための嘘のストーリー。残虐で極めて強固な殺意に基づく犯行。人命の軽視も甚だしい」などとして死刑を求刑しました。

一方で弁護側は被告の車の中から第三者の血痕が見つかっていることから第三者の犯行の可能性について指摘した上で、「犯人であることの決定的な事実はない」と改めて無罪を訴えました。

大分地裁の裁判員裁判で死刑が求刑されるのは初めてです。

この裁判の取材を続けている山路記者です。

◆TOS山路謙成記者
この裁判の最大の争点は「佐藤被告が事件の犯人」かどうかという点です。

犯行には佐藤被告の車が使われたことが分かっています。
この点について佐藤被告は「事件当日プロレスマスクの男たちと合流し1人を車に乗せて現場近くに向かった」と説明しています。その後、「男たちから血の付いた服などが入った袋を処分してほしいと頼まれ、コインランドリーで洗って捨てた」としています。

こうした点について検察側は被告の供述が変化していることを踏まえ、「別に犯人がいるかのようなうそのストーリーを創作し客観的な証拠と矛盾があればその都度上塗りし続けてきた」などとして被告の主張は信用できないと結論づけています。

一方で弁護側は、「被告の車から被害者のDNA型が検出されたことなどが明らかになっているが犯行を裏付ける決定的な証拠はない」として「検察は有罪であることを証明できていない」と強調しています。

検察側から死刑という非常に重い求刑が行われた今回の裁判。裁判員や裁判官がどのような結論を出すのか注目されます。

この裁判についてですが17日は朝から傍聴券の抽選が行われ、大分地方裁判所には160人の希望者がいました。

◆TOS田辺智彦アナウンサー
私も抽選に並んで裁判を傍聴しました。

被害者の遺族が意見陳述をしている時、佐藤被告の目の辺りを見ていたのですが、遺族が声を震わせながら感情をあらわにしている時でも被告の表情は一切変わらず、遺族を見つめていたシーンが記憶に残っています。

◆TOS山路謙成記者
検察側から死刑が求刑された際、遺族はハンカチで目元を抑え涙を拭っていました。
これに対し佐藤被告は反応することなく一点を見つめていました。
7月の判決に注目したいと思います。

ここまで宇佐市で起きた強盗殺人事件の裁判についてお伝えしました。

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