酒田市内の民間津波避難ビルに備蓄品配置 アルミシートや飲料水など 能登半島地震を教訓に
酒田市内にある民間の津波避難ビルに11月、避難者向け備蓄品の配置が始まりました。きっかけとなったのは能登半島地震の教訓でした。
防災無線「地震です。地震です。酒田地域の方は落ち着いて身の安全を守る行動をしてください」
10月27日朝8時過ぎ。酒田市では市内全域を対象にした総合防災訓練が行われました。沿岸部では日本海で発生した地震により大津波警報が発表されたと想定。また内陸部では、線状降水帯による土砂災害が起きたと想定しそれぞれ避難訓練が行われました。津波避難ビルの1つ山新放送庄内会館にも、地区の人たちが、4階にある会議室に徒歩で集まりました。
参加した住民は「現実的に津波が来た場合やっぱりここを頼らざるを得ない。ですけどそういう実感がないんですね。みんな緊張感を持った方がいいですね。」
ことし元日に起きた能登半島地震では、庄内沿岸にも津波警報が出され、自治体が避難指示を出しました。しかし、市内6つある民間の津波避難ビルはいずれも「一時避難場所」で寝泊りや水や食料を配給できる指定避難所ではなく市による食料などの備蓄もありませんでした。そのため、避難した住民の多くは津波警報が解除される前に自宅に戻りました。
市危機管理課佐藤千尋課長「食料ですとか飲料ですとか個人防災グッズとして持って逃げていただく事を基本にしながらも外出先だったり観光客の方であったりさらに長期化した場合を想定してまずはビルの方にもほんの少しですが備蓄品を入れると」
この教訓から11月13日から民間津波避難ビルにも非常用の備蓄が始まりました。備蓄されるのは毛布の代用となるアルミシート、栄養補給用のゼリー飲料、ペットボトル入りの飲料水などです。民間津波避難ビルの一つホテルリッチ&ガーデン酒田には、それぞれの備蓄品が300個ずつ非常時に災害対策室となる部屋の備品庫に置かれました。ホテルの防災担当者は、「備蓄品をどの段階で避難者に配るのか、また、一時避難の後に、指定避難所に移動してもらう手順や移動手段など、津波避難ビルの運用について市は早急に示して欲しい」と話します。庄内沖の日本海には地震の空白域もあり、市民には避難への日頃の準備が、行政にはよりきめ細やかな対応が求められています。