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「人の命を大切に」 アフガニスタンで凶弾に倒れた医師中村さんのドキュメンタリー映画 上映会各地で

2024年5月23日 15:22
「人の命を大切に」 アフガニスタンで凶弾に倒れた医師中村さんのドキュメンタリー映画 上映会各地で

アフガニスタンなどで長年医療活動に取り組み、5年前、凶弾に倒れた医師中村哲さんを題材にしたドキュメンタリー映画の上映会を開く動きが山形県内で活発化しています。未来に不安を抱える若年層など幅広い世代が足を運んだ山形市内の試写会の模様を取材しました。

映画の試写会が開かれた山形市内の会場です。上映されたのは「荒野に希望の灯をともす」というタイトルのドキュメンタリー映画。
映画はアフガニスタンなどで長年にわたって医療活動などを続けた医師・中村哲さんの軌跡を20年以上にわたって記録した映像とともに振り返るドキュメンタリーです。
中村さんは福岡県出身の医師で、1980年代から30年以上にわたりアフガニスタンやパキスタンで医療活動に従事しました。その傍ら、現地の人々の生活向上を目指す活動にも取り組みました。大干ばつで飢餓に苦しむアフガニスタンでは、紆余曲折の末に、独学で用水路を設置。荒れ果てた土地と人々の生活を復活させ、多くの現地人に親しまれました。

中村哲さん「必要なのは武器や軍隊ではありません。ですから私たちはこれからも支援を続けていきます」

しかし、2019年12月、何者かの銃弾に倒れ、73歳でその生涯を終えました。

中村哲さん「人の命を大切にすることを通してお互いに得るものが多いんじゃないか。戦争にしろ平和にしろ悪いやつをやっつけるとか正義を守るとかそういうことではなく人の命を大切にするということに尽きる」

この作品は、中村さんの死から3年後の、おととし劇場公開されました。すると口コミで火がつき、県内を含む全国で自主上映会が次々に開催されています。
世界情勢の悪化や政治への不信感などから幅広い世代に支持され、ドキュメンタリー映画としては異例のロングヒットを記録しています。

シネマとうほく鳥居明夫社長「若い世代や中学生子どもたちに結構来てもらっている。未来に対して漠たる不安感を 持っているのではないか。このままで私たちの日本は大丈夫なのだろうかと。いま時代が中村哲さんの言葉を求めているんじゃないかと思う」

特に県内では映画パーソナリティの荒井幸博さんが中心となり、各地域で上映会の輪が広がっています。

試写会「1人でも多くの人に見てほしい。中村哲さんの存在を知らしめたい。皆さんにも力を貸してもらいたい」

荒井幸博さん「1人でも多く中村哲さんのような人がいれば本当に平和だろうなという思いでいっぱい。政治をつかさどっている人や教育の現場にいる人、色んな人たちに中村哲さんの行いや人となりを知ってほしいという一心。それを思わせる力がこの映画にはある」

この日の試写会では映画の上映後、観客から自然に拍手が起こりました。

観客「中村さんの遺志が自分たちの心の中の善の部分の琴線に触れている。今世界中で中村さんの思いと真逆の事が起きている。今こそこういうことが大切だと思った」

この映画の上映会は今後、6月30日の酒田市を皮切りに、山形や東根など県内11の市と町での開催が決まっています。

荒井幸博さん「今年に入ってからホール上映が盛り上がっているが、県内各地でくまなくやるのは山形が初めて。ここから後に続く県が出てくるんじゃないか」

シネマとうほく鳥居明夫社長「大きな町だけでしかできない上映ではない。ぜひ県内小さな市や町であっても上映の立ち上げをしてもらえればありがたい」

上映会に興味を持った人は、仙台市の映画配給会社「シネマとうほく」(022-225-0986)まで問い合わせてほしいということです。

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