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障害のある人がガソリンなどを取り扱う国家資格に挑戦 合格率はわずか3割

2024年1月16日 17:39
障害のある人がガソリンなどを取り扱う国家資格に挑戦 合格率はわずか3割

山形県南陽市に障がいのある人たちが就労訓練を行うガソリンスタンドがあります。今回、そこで働く男性がガソリンなどを取り扱うための国家資格に挑戦しました。合格率はわずか3割の難関です。果たして結果は…。

南陽市にある就労支援施設「LUNA」。ここは障がいのある人たちが洗車やタイヤ交換、車検など自動車整備の仕事を学んでいる全国でも珍しい施設です。

川井智史さん「空気圧のメーターを見ています。空気漏れがないかをチェックしている」

川井智史さん(37)は3年前から「LUNA」に通っています。

川井さん「18のころ、脳のてんかんという病気を患って、強烈なフラッシュの明滅など光に過敏に反応して脳波に乱れが発生し意識が落ちたのちに全身の筋肉がけいれんしてがたがたとなる」

薬を飲むことでてんかんの発作はここ10年ほど起きていません。

川井さん「母が作ってくれた弁当です。おいしいの一言です」(今の夢は?)「いろんな経験を積んで、少しずつステップアップすること。社会に出ていくことが現在の目的」

LUNAの運営会社が経営する南陽市内のガソリンスタンド。川井さんは週に2、3回ほどここで就労訓練を受けています。

川井さん「外窓拭き入ります」

一般のお客さんを相手に接客や窓拭きなどの作業を行うことでより実践に近い形で技術を磨きます。そして、川井さんにはある目標があります。

川井さん「まず第一は乙4の資格を取る」

ガソリンなどの危険物を取り扱う国家資格の取得を目指しています。資格があればLUNAの利用者でも給油を行うことが可能になりますが、合格率はわずか3割ほどの難関です。

川井さん「消火に関する基礎知識や危険物の性質などもいろいろ書いてある。苦手なのは物理や化学」

川井さんは中学生の時に不登校になり、家にこもりがちな生活を送ってきました。物理や化学を勉強するのは今回が初めてです。

川井さん「どんなに頑張っても自信はつかない。合格者の3割に入れるのか」

休みの日には8時間以上勉強し、去年11月、試験に臨みました。

12月13日、合格発表の日です。

川井さん(試験どうだった?)「あまりよくないですね。正直言うと」

自信なさげです。

LUNA代表加藤健一さん「国家資格なのでなかなか難しい。2、3回受けて合格する人もいる」

試験の結果はホームページで発表されます。LUNAの代表を務める加藤さんと一緒に結果を見ます。

結果発表「そんなまさか!」「受かってる、すげー」

結果は見事合格。スタンドのスタッフにも報告します。

「どうでした?」「なんで受かったんでしょう」「おめでとうございます」「あれだけ努力したからですよ」

ムゲンガスステーション安部誠マネージャー「本当にすごい。あの難関を突破したのは。よっぽど努力しないと無理だと思うので本当に素晴らしい」

そして15日。

川井さん「免状も届いて乙4の取り扱いが出来るようになった。家族は喜んでくれた」

川井さんはこの日、初めて給油に挑戦します。まずはスタンドの車を使って手順を確認します。

安部マネージャー「キャップオーケーカバーロックオーケーこれは抜けてしまうことがあるかもしれないのでそれを防ぐために必ず声を出して指を指して確認する。絶対に油種の間違いはないように」
川井さん「エンジンの調子が悪くなってしまうんでしょうか?レギュラーに軽油を入れたりすると」安部マネージャー「油種がまるで違うから壊れる。声掛けで連携して必ず確認するのが大事」

いよいよお客さんを相手に給油します。

川井さん「確認します。レギュラー満タンでよろしいでしょうか」「レギュラー満タン入ります」「レギュラーガソリン満タン10.4リッター入りました」「キャップオッケー。カバーロックオッケー」

声出し確認を忘れません。

「ありがとうございました」「大丈夫かと思ったが緊張しました。ガソリンスタンド内で出来ることをより増やしていこうと考えている」

国家資格の取得という難関を突破した川井さん。これからも自分に出来ることを増やし、社会に出る夢に向かって挑戦を続けます。

「レギュラーガソリン満タン入りました」

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