クマが住宅の間を走り去る 平地でも目撃相次ぐ山形県内 今後人的被害増加の可能性も
酒田市の平野部の田んぼに出没したクマの映像がYBCに寄せられました。山間部からは遠く離れた場所で姿が捉えられました。県内ではことし、クマの目撃件数は過去最多となっていて、このようにクマが平地に出没するケースも相次いでいます。その背景を探りました。
10月22日午後2時ごろ、酒田市内で撮影され、YBCの投稿ボックスに寄せられたクマの映像です。クマが田んぼのあぜ道や道路脇を走る姿が捉えられています。撮影した男性はー。
撮影者「2メートルくらいしか離れていないときもあった。私の方を見ずに一目散に走っていったが」
酒田市安田の田んぼに出没したクマの体長は80センチから90センチほどで、その後、南東方向の関地区に向かって走っていったといいます。
撮影者「通報後パトカーが行くまでクマがいる現場にいてくれとの事だったので私が追いかける中では安田地区の家の間をすり抜けていったりしていたので、大きい声で『クマいるよ!』と注意喚起をしながら回った」
クマは集落の住宅の間を猛スピードで走り抜けていったといいます。
周辺ではこれまで、クマの目撃情報が相次いでいて、酒田市によりますと、10月中旬から遊佐町の中心部で目撃が相次いでいたクマが市内までやってきたのではないかとみられています。
ことし6月、酒田市の中心市街地に出没したクマを捉えた映像です。このように山だけでなく市街地や平地にクマが出没するケースがことし、県内だけでなく全国でも相次いでいます。専門家はクマの生態が変化している可能性があるといいます。
岩手大学・山内貴義准教授「里に下りてきたクマは秋ではなく春先やもしかしたら昨年度から既に集落周辺にいつも徘徊していて、本来であれば秋は山に行くはずだが、山に行かずに里の食べ物に依存してしまっている可能性はある。クマの行動が大胆になっている」
山内准教授はこうした生態の変化のほか、猟師の減少、それにクマの好物・ブナの実の大凶作が重なり、ことしは目撃件数が急増したと分析します。こちらは県がクマの目撃情報をまとめたマップです。県によりますと目撃件数は10月22日現在、614件に上っていて、去年の同じ時期に比べておよそ1.7倍に増え、過去最多となっています。
また、隣県・秋田県ではクマによる人身被害が30日までに山形県のおよそ12倍に上る61人に上っています。
山内准教授は、これから更に出没が増え、県内でも秋田県のように人身被害が多発する可能性もあると指摘します。
山内准教授「季節の進み方は北東北の方が早いのでクマの出没傾向は早めに出ている。南にある山形県はもしかしたらこれから秋田県と同じような感じで出没が急増する可能性がある」
山内准教授は、冬に入ってクマの冬眠が始まるまでのこれからの時期は引き続きクマの出没に注意が必要と呼びかけています。