【物議】片道1車線の通学路に運搬車両が一日5800台増⁉住宅地のド真ん中に『物流&データセンターの巨大複合施設』建設計画に、地元住民から懸念の声「子どもの安全、生態系への影響が心配」
東京のベッドタウン・昭島市。JR昭島駅から徒歩わずか10分ほどの場所に持ち上がっている巨大プロジェクトが、東京ドーム12個分にもなるゴルフ場跡地に『巨大物流センターと日本最大級のデータセンターの複合施設』を建設する計画です。しかし、地域住民からは懸念の声が。一体、何が―。
■住民の懸念①『交通量』 片道一車線の通学路に運搬車両が最大一日5800台増か
『GLP昭島プロジェクト』は、2023年10月に閉鎖されたゴルフ場跡地を開発する計画です。事業者は、シンガポールの物流不動産投資大手の日本法人『日本GLP株式会社』ら。工期は、2025年2月からを計画しています。
GLP側が東京都に提出した資料によると、物流センター3棟(高さ約40~55m)やデータセンター8棟(高さ約35m)などが建設予定だということです。これに対し、地元住民は「計画を縮小せよ」と声を上げています。
反対住民による1つ目の懸念は、『交通量』です。最大で一日5800台(うち大型車1100台)の運搬車両が増える予定で、通学路の安全や渋滞などが懸念されています。
地図内の黄色線が搬入出ルートです。予定地の周りは片側1車線の道路が多く、普段から乗用車やトラックがひっきりなしに通るエリアのため、日常の交通量にプラスして5800台の運搬車両の増加は、さらなる渋滞を生み出します。
また、周辺には少なくとも9つの学校があり、通学路に指定されているため、地域住民からは「通学時・下校時の子どもの安全が脅かされるのではないか」といった声も聞かれています。
■住民の懸念②『環境の変化』 ホタルの住む美しい玉川上水や景観は守られるのか?
2つ目の懸念が、『環境の変化』です。この辺りは自然が豊かな場所で、ホタルやオオタカなどの生息が確認されている玉川上水が流れているため、「施設ができることで生態系が崩れるのではないか」と心配の声があがっています。
また、一番高い建物はマンション15階~20階建てに相当する高さ55mにも及ぶため、景観が変わったり、日照権が侵害されたりするのではないかという声もあります。
■住民の懸念③『データセンター建設』 桁違いの電力消費量と二酸化炭素排出量
また、今回のプロジェクトでは『データセンター』も建設予定です。データセンターとは巨大なコンピューターの集合体で、同時に複数の企業が使うこともあるというものです。
総務省HPによると、データセンターの数は、ヨーロッパ7か国で合わせて約2100・アメリカには5381ですが、日本は僅か219。ただ、日本の市場規模は年々増加していく見込みです。
ITジャーナリスト・三上洋氏によると、データセンター建設増加の背景には『デジタル化』と『生成AI』があります。デジタル化を進める日本にとってデータセンターは必ず必要で、都市に近い・防災面など好条件の土地は争奪戦だということです。
そんなデータセンターの懸念点は、『排熱による気温上昇』『電力消費量・二酸化炭素排出量の増加』です。GLP側が東京都に提出した資料・経産省によると、昭島市に計画中のデータセンターの電力消費量/年間は、東京・新宿区(2022年)や高知県(2021年)が一年に使う電力とほぼ同じです。また、二酸化炭素排出量/年も、データセンターだけで昭島市全体の約4倍になると予測されています。
GLP側が東京都に提出した資料によると、GLP側は「太陽光発電の活用や、省エネ対策を進め排出量の削減に努める」としています。
東京・昭島市の臼井伸介市長は、「日本GLP社長に直接配慮を要求している。法令の範囲内で行われる民間企業の事業活動に対して、行政が要求できることには限度がありますが、引き続き対応に最大限努めてまいります」とコメントしています。
GLP側が東京都に提出した資料によると、昭島市は主要な幹線道路に比較的近く、首都・中部・関西圏の結節点で、産業拠点を形成し、地域経済に貢献したいということです。日本GLP株式会社は、「地域環境への影響を考慮し、行政はじめ地元住民の皆様と協議を続けながら、計画を検討したい」としています。
(「情報ライブ ミヤネ屋」2024年11月15日放送)