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【独自解説】スマホからもノロウイルス感染の恐れ…トイレや食事中の使用には要注意「タブレットやキーボード・マウスも危ない」 さらに、急増する『寒暖差不調』も影響!医師が勧める体調管理法を伝授

2025年3月19日 8:00
【独自解説】スマホからもノロウイルス感染の恐れ…トイレや食事中の使用には要注意「タブレットやキーボード・マウスも危ない」 さらに、急増する『寒暖差不調』も影響!医師が勧める体調管理法を伝授
この時期に必要な体調管理法とは―

 一日の中の寒暖差が大きくなっている影響で、全国的に『寒暖差不調』を訴える人が急増中。寒暖差による体調不良を防ぐための対策は?さらに、寒暖差も関係しているという感染性胃腸炎から身を守るには?いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長の解説です。

■倦怠感・めまい・咳…急増する『寒暖差不調』 見分け方と対策は―

 東京では徐々に寒さも和らいできましたが、3月に入ってからの寒暖差は激しく、最高気温が20℃を超えた2日後に5℃台まで急降下することもありました。一日の中での寒暖差も激しく、最高気温と最低気温に10℃以上差があることも。この寒暖差に今、体調を崩す人が急増しています。

 『寒暖差不調』とは、季節の変わり目や急激な温度変化によって、心身に疲労感や体調不良を感じる状態です。気温差7℃以上で表れやすく、主な症状は倦怠感・頭痛・めまい・肩こり・鼻水・咳といったアレルギー症状です。

Q.頭痛や肩こりなど、人によっては日常的な症状だと思いますが、寒暖差不調かどうかを判断する方法はありますか?
(いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長)
「寒暖差不調には基準があるわけでも、数字に出るわけでもありません。ただ、我々からすると、“今までの経験からかけ離れて強い症状が出ている”ということで、患者さんが一番教えてくれます。例えば、『いつも頭痛がある人でも、その程度や頻度がひどい』『もともと通年性のアレルギーがあって、花粉症は軽いけど、外に出ると一気に水様性の鼻汁が出て止まらない』などです」

Q.「片頭痛で嘔吐した」という人もいるようですが、“尋常ではない症状”ということですか?
(伊藤院長)
「そうですね。そう簡単に大人は嘔吐しないと思うので、“いつもとかけ離れた顕著な症状”から割り出していくことかと思います」

 伊藤院長によると、寒暖差不調の対策は『ダウンコートなどの防寒策』『湯船につかる』『早めの就寝』『寒暖差を作らない空調調節』だといいます。

(伊藤院長)
「この時期は、寒暖差の中でも特に“寒”がかなりキツいので、血流不良などを介して、自律神経が乱れるケースが多いと思います。暖かい後に寒い時間帯があることを念頭に置いて、まだダウンコートは手放さず、持ち歩くぐらいのほうが良いかと思います」

■感染性胃腸炎が異例の急増 発症する人・しない人の違いとは―

 さらに今、猛威を振るっているのは、ノロウイルスなどの感染性胃腸炎です。国立感染症研究所HPによると、一医療機関当たりの感染者数の全国平均は10.32人(2025年2月17日~23日)になり、この時期過去10年で最多に。冬に流行することが多いノロウイルスですが、2025年は3月に入ってからも、異例のペースで増え続けているといいます。

Q.感染性胃腸炎が本当に増えていますよね?
(伊藤院長)
「通常だと1月が一番多くて2月になると減ってくるのですが、今年は2月に増えて3月にさらに増えたので、かなり驚きました。これは、3月にしては寒かったり、寒さの後に暖かさがやって来るという寒暖差の中で、自律神経や腸内環境が乱れて、免疫力が落ちているためだと考えられます。一方、生活はコロナ前に戻って、活発に集団生活や飲食を共にする場面も増えたので、感染の機会が非常に増えて、感染が広がるスピードも速いです」

 感染性胃腸炎の中でも代表的なノロウイルスは、手指や食品などを介して口に入り腸管で増殖し、嘔吐・下痢・腹痛などを起こします。12月~3月頃まで多発し、主な感染経路はウイルスへの接触・飛沫感染・空気感染など。潜伏期間は24~48時間で、特別な治療法はなく、対症療法となります。伊藤院長によると、「久しぶりに焼き肉を食べたら下痢と嘔吐」「2日連続お寿司を食べたら、1日経ってから嘔吐」といった患者がいたということです。

Q.食べたその日ではなく、翌日になってから症状が出るんですか?
(伊藤院長)
「はい。教科書的にも潜伏期間が1~2日となっていて、大体そこにきちんと収まるのが、ノロウイルスの特徴かと思います。夜中に吐きまくって苦しむというパターンが多いです」

Q.同じもの食べても発症する人としない人がいるのは、ちょっと疲れているなど、免疫力の差にありますか?
(伊藤院長)
「あります。腸管免疫のバリア機能には個人差が結構ありますから、普段食べているもの・寝不足・寒暖差による疲労などで変わってきます」

■トイレと食事中のスマホ使用に要注意 嘔吐した場合も焦らず適切な対応を

 さらに、注意すべきは『スマホ』です。ノロウイルスは寒さや乾燥に強いため、スマホの表面に1~2週間生存する可能性も。伊藤院長によると、特にトイレでスマホを使用した場合、「ドアノブや蛇口などに付着した目に見えないノロウイルスが、手指を介してスマホに付着する可能性がある。アルコール消毒は、ノロウイルスにはほとんど効果がないため、塩素系の消毒液でしっかりと消毒し、同時にせっけんで手洗いを行い、30秒以上洗い流す」ことが重要だということです。

Q.スマホが危ないんですね?
(伊藤院長)
「これが落とし穴だと思います。スマートフォンだけではなく、タブレットなどツルツルした画面のツールや、キーボードやマウスも危ないと思います。でも、こういったものを消毒する習慣が、なかなか根付いていないですよね。また、ノロウイルスにはアルコール消毒は効かないので、次亜塩素酸ナトリウムを薄めたもので消毒することが重要です」

Q.食事中に連絡などでスマホを触って、そのまま食事を続けることはありますよね?
(パックン氏)
「ありますよ。また、トイレに行ったときにメールをチェックすることもありますけど、手を洗ってもスマホを洗ったことはないですね」

 もしノロウイルスに感染し、嘔吐した場合は、キッチン用の塩素系漂白剤(ペットボトルのキャップ5杯分)を水500mlとよく混ぜたものを準備してください。嘔吐物をペーパータオルなどで覆ったら、その上に先ほどの薄めた漂白剤をかけ、10分以上置きます。その後、ペーパータオルごと嘔吐物を取り除いたら、改めて嘔吐した場所に薄めた漂白剤をかけ、ウイルスを完全に殺すことが重要だということです。

Q.子どもが吐いたからといって焦って親が片付けてしまうと、感染の危険性が高まるということですね?
(伊藤院長)
「そうなんです。ただ、これは手順がたくさんあって時間も長いですが、あくまで吐瀉物や排泄物を処理するときの話です。普段の目に見えないウイルスの処理であれば、そこまで時間をかけなくても良いケースもあります。最近は、スプレー式になったものも売り場に少しあるので、次亜塩素酸ナトリウムが入った塩素系のスプレーなども、うまく活用すると良いかと思います」

Q.下痢や嘔吐があったら、体の中に悪いものあるから、とりあえず水を飲んで全て出したほうが良いという意見もありますが、これはどうでしょうか?
(伊藤院長)
「概ね間違いではないと思います。脱水に対して追いかけるように水分をとるということですし、下痢を一気に止めないことは、胃腸炎の原則です。あまり急に止めるとヤバい菌がこもってしまいますので、下痢止めは早めに使わないことが原則です。また、水分補給には経口補水液やスポーツ飲料がいいと思います」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2025年3月11日放送)

最終更新日:2025年3月19日 8:00
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