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【速報】残業が月170時間以上で適応障害 中学校の教諭が訴えた裁判で市などに220万円の賠償命令 「異常な働き方が当たり前になっていた」

2024年8月9日 13:15
【速報】残業が月170時間以上で適応障害 中学校の教諭が訴えた裁判で市などに220万円の賠償命令 「異常な働き方が当たり前になっていた」
判決後に会見する男性教諭(9日)

 多い月で170時間以上、時間外勤務をするなど、長時間労働によって適応障害を発症したとして、東大阪市立中学校の男性教諭が、東大阪市と大阪府に慰謝料など330万円の損害賠償を求め訴えた裁判の判決が9日開かれ、大阪地裁は220万円の賠償を命じました。

 大阪地裁は判決で、「勤務は量的に過重であり質的にも負荷が増加していた。男性教諭は業務の軽減を求めたにもかかわらず校長は具体的な措置を取らず注意義務に違反しており、そのことが適応障害の発症に相当因果関係が認められる」と指摘しました。

 判決後に開かれた会見で、男性教諭は「主張が認められてホッとしている。子どもを育てる大事な仕事をしているが、異常な働き方が当たり前になり、麻痺している。今回の判決がきっかけで、日本全国で教員の働き方改革が良い方向に向かえばいい」と話しました。

 訴状によりますと、男性教諭は2021年、理科の担当や学年主任のほか進路指導主事や野球部の顧問などを務めていましたが、無気力感や食欲不振がなどが出て集中力が低下し始め、クリニックで適応障害や抑うつ状態と診断されました。

 翌月には病気休職を余儀なくされ、2か月後に一時復帰しましたが、ほどなくして再び休職するようになりました。

 男性教諭は適応障害の発症前、7か月にわたり時間外勤務が1ヵ月あたり92~173時間、平均すると月150時間あまりに上ったと主張。診断前、校長には「授業の持ち時間を減らすか、せめて進路指導主事から外してもらわないと無理だ」と相談しましたが、校長から「君がふんばってくれ。代わりはいない」と言われ、改善はなかったということです。

 男性教諭は「学校側は長時間労働や心身の不調を認識していたにもかかわらず、軽減措置を取らず、その結果、適応障害などが発病した」として、去年5月、東大阪市と大阪府を相手取り、大阪地裁に訴えを起こしていました。

 判決を受けて、東大阪市教育委員会は「判決文の中身を精査できていないため、詳しいコメントは差し控える。教職員の長時間勤務については大きな課題だと把握していて改善を図っているところではあるが、業務の整理や効率化をさらに進めていく必要がある」とし、大阪府教育庁は「判決文を確認できてないためコメントできない」としています。

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