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【独自解説】9人乱立、自民党“異例の総裁選” 14日(土)の討論会で「本命候補」が分かる!? 知られざる「暗黙のルール」と、気になる解散総選挙の日程

2024年9月14日 8:00
【独自解説】9人乱立、自民党“異例の総裁選” 14日(土)の討論会で「本命候補」が分かる!? 知られざる「暗黙のルール」と、気になる解散総選挙の日程
候補者“過去最多”異例の自民党総裁選

 9月12日に告示された自民党総裁選には過去最多の9人が立候補しました。この“異例の総裁選”、その「演説会」と「討論会」には知られざるルールと悩みがあります。そこで分かる総裁選の“本命”とは?そして、気になる解散総選挙の日程は?『読売テレビ』高岡達之特別解説委員が徹底解説します。

■悩みの多い「演説会」 会場となる都市は“11分の8”?

 候補者たちによってこれから行われる「討論会」と「演説会」。これは同じような言葉に見えますが、実は大変な違いがあります。そこで今日はその「知られざるルール」を紹介していきます。

 まずは「演説会」です。今回の総裁選は、候補者にこれだけの面々がいますので、「全国8カ所でやりましょう」といわれています。それが“11分の8”なんです。本当は、全国全部回れたらいいのですが、日にちも足りませんし、それぞれの選挙区に行ったら贔屓だと言われてしまいます。

 そこで、比例代表ブロックが全国で11に分かれますので、その11の比例代表ブロックの主要都市8カ所で行えば、ほぼ全国で行ったと言える、ということで、今その場所の最終選定を行っています。警察の警備の問題とかいろいろあるのですが、沖縄でやることについてはもう決まったそうです。それからやはり、能登の地震のあった石川県では行うだろうと言われています。

 そんな中、今、地元で「大丈夫か?」と言われているのが仙台だそうです。仙台は今までよく行われていたんです。東北の中心都市ですし、地震からの復興ということもあります。しかし、今回仙台は「まだお呼びがかかってないのでは?」と、地元では大変な騒ぎになっているそうです。

 しかし、受け入れる県も、大阪や愛知など大きいところは警察官もたくさんいますが、そうでもないところもあるので警備の人員確保もなかなか頭が痛いところです。

■「討論会」中継で見えてくる“本命候補” 民放のニュース番組出演者が有利のワケ

 次は、“暗黙の”・“ややこしい”・知られざる“ルールがある、「討論会」です。「演説会」は一方的に言うだけなので、なかなか“ボロ”というのは出ないのですが、「討論会」をやると、“ボロ”が出てしまいます。

 9月14日(土)、『日本記者クラブ』で「討論会」があります。日本記者クラブは日本中の新聞社・テレビ・通信社などの、いわゆる“会社メディア”が入っていて、ここには厳しいルールがあるんです。

 日本記者クラブでは、冒頭、演説と同じように「一人2分で言いたいことを喋ってください」と言われます。テレビやネットの中継もありますが、「討論会」の時間は約2時間なので時間制限があり、各人の持ち時間の15秒前になると、カメラに映らないところにある赤いパトライトのようなランプが点くようになっています。しかし、私の経験上で言いますと、守った人はほぼいません。ピカピカ光り出してから話が波に乗る人もいます。ただし、警告している声も中継に乗ってきますので、「この人時間守らないな」というのがはっきりわかります。

 つぎに、候補者同士の討論があります。その際、もし“質問が集中する人”が出てきたら、それは候補者の間で「本命」と思われている人ということになります。

■討論会第2部は“ベテラン記者”からの質問 そこから見える「メディアが思う本命候補」

 その後、第2部では、質問者がメディア側に切り替わります。そこでは、例えば読売新聞特別編集委員である橋本五郎氏のような、超ベテランの政治取材経験者が4~5人選ばれて質問します。

 この時は候補者に「ニュースになるかならないかを重視するので、申し訳ないけど公平に当てません」と宣言します。例えば、橋本五郎氏が質問者になった場合は、(均等にではなく)橋本氏が聞きたい人に2回3回と聞くかもしれません、ということを暗に言ってるわけです。

 実はベテランの記者たちも、現場の政治部記者から「この人本命ですよ」というのを聞いているので、ベテラン記者たちが指名する人が一人に集中すると、その人が今の時点で「本命」と思われているということになります。

 ちなみに、こういう討論会は、“民放の”ニュース番組に慣れている候補者が得意です。バラエティ番組はタレントの方々が上手く笑わせてくれて好感度を上げてくれて時間も管理してくれますが、ニュース番組は、キャスターも厳しくニュース性のもとで追求してきます。そして民放では非常に時間が限られているので、さっと気の利いた答えを短時間で返さないといけないからです。

■立憲民主党も同時期に代表戦 演説会で重要視される「大阪梅田ヨドバシカメラ前」

 一方、同じ時期に代表選をしている立憲民主党ですが、代表候補者は4人で、もうすでにこの日本記者グループの「討論会」は終わりました。また、自民党と同じように全国の比例代表ブロック別に「立会演説会」をします。多分、自民党もこれを意識しているんだと思います。

 そして、東京で自民党総裁候補の「討論会」がある9月14日(土)に、立憲民主党は大阪・梅田にあるヨドバシカメラ前という、大変たくさんの人がいるところで「立会演説会」を行う予定にしています。立憲民主党がなぜそれをするかというと、これも自民党と同じ理屈になります。それは「動員力」です。

 あの人出の多いところで、この候補者が立つとこれだけの動員力がある。もう言わずもがな、「解散総選挙の応援演説にこの人来たらすごいですよ」ということが言いたいワケです。

 さて、その解散総選挙ですが11月10日が今のところ本命視されています。この日になるんじゃないかと思って、今、永田町あるいは国会議員の皆さん方は逆算して「事務所借りよう」「車どうしよう」と考えています。
(『読売テレビ』高岡達之特別解説委員)

(「かんさい情報ネットten.」2024年9月9日放送)

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