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全国中学校駅伝で“成長” 五輪ランナーが実感「初めて個人競技とは違う喜びを味わいました」

2022年12月16日 11:30
全国中学校駅伝で“成長” 五輪ランナーが実感「初めて個人競技とは違う喜びを味わいました」
全中駅伝に出場経験のある北京五輪代表・小林祐梨子さん(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)
◇第30回全国中学校駅伝大会(18日、滋賀県希望が丘文化公園、女子:5区間12キロ、男子6区間18キロ)

各都道府県の代表校47と開催地枠を加えた全48チームで、日本一をかけて争う全国中学校駅伝大会。

2008年北京五輪女子5000メートル代表の小林祐梨子さんがその魅力を話してくれました。小林さんは兵庫県・小野市立旭丘中学校で2度の全中駅伝に出場。2年(02年)では1区・区間2位、3年(03年)では1区区間賞を獲得しています。

「中学校で陸上部に入ってその3年間で一気に私の陸上人生の扉が開いた。(1年生の)県大会に出るのが精いっぱいというレベルから、(3年生時は)全国で800メートル、1500メートルのトラック(全日本中学校選手権)で2冠して最優秀選手をもらうのがしめくくりだったので、とんでもない成長期になっていた」と中学での陸上生活が、後の小林さんを支えました。

■厳しい全国への道 初出場時は「これ夢ですか?」

小林さんの兵庫県は陸上が盛んな地域。全国への道は険しかったと言います。

「兵庫県は最初から県大会に出られるわけではなく、県大会に出るための地区予選がほんとに大変。私の東播地域は、個人競技でも勝つことが難しいと言われていました。1年生の時はまずは『県大会に行きたい』というのが一番の夢でした。8位で県大会に出場できた時は、もう泣いて泣いて喜んで、先輩たちと県大会に行けると、あの時、駅伝で初めて個人競技とは違う喜びを味わいました」

2年生の時に県大会優勝で全国への切符を手にすると「当時の陸上ノートには『これ夢ですか?』というようなことを一杯書いている。当時は全国を目標としていなかったので、全国に行けることが夢見心地。チーム全員が攻めた結果が全国にいけました」

初めての全中駅伝で、自身は1区・区間2位、チームは10位。全国の高いレベルを経験したことで、小林さんの競技への目線は上がっていきました。

「3年生は『確実に全国に行く』、『全国で勝ちたい』と公言していた。県大会では守りの走りが出て無難に勝ったという感じだったので、『勝ったことのうれしさなんて1ミリもないです』とノートに書いていました。1年生から順番を踏んで目標を上げていったという過程の中で、駅伝を通して、走る選手だけではなく補欠も含めて計り知れない力が生まれることを感じました。私が住んでいた小野市は、『どこ?』と言われるような小さな田舎。そんなのどかなところから2回も全国に行けたということが、私たちの意識を高く持たせてくれました」

■「同じ時間を過ごすことは二度とない。悔いのない走りをして欲しい」

小林さん自身を大きく成長させてくれた全中駅伝。終わった瞬間に残っていたのは“寂しさ”でした。

「3年間やってきてすべての駅伝がここで終わったと思うと感慨深いものがありました。ミーティングを重ねて、チームメイトの思いを言い合って、いろんなエネルギーをもらってやってきたので。中学3年間チームなしでは自分の陸上人生は語れないとずっと感じていて、チームのみんなに感謝しながらやってきたので、レースが終わって、寂しさというのがありました。部活動として入ってきたものが、ここまで勝ち上がってきて何か一つ自分たちで作れたものを感じていたので、それが最後の節目となると思うと、“寂しさ”が一番強かったです」

今年出場する選手たちに向けて小林さんは「チームの目標を達成するために恐れず走って欲しい。このメンバーで走るのは最後、メンバーと同じ時間を過ごすことは二度とないので悔いのない走りをして欲しい」とエールを送りました。

【放送予定】
BS日テレにて18日(日)11:00~生中継&TVerでもライブ配信。また前日の開始式(17日15:00~)、レース後の表彰式(18日14:30~)を日テレスポーツ公式YouTubeで配信予定

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