【凡人から超人へ!】相撲レスラー日下尚 グレコ40年ぶりの金へ 大関・琴櫻から指導&名前の由来はあの金メダリスト
■凡人だから「人が寝ている時も練習」
競技人生は順風…かと思いきや、決してエリート街道を歩んできたわけではありません。「3歳からレスリングを始めたんですけど、初めは全く結果を出せなかったし、高校の国体は1回戦で負けてしまって…。日本体育大学に入学した時も、周りの同期を見て『すごいところに入ってきてしまったな』と。自分の中では常に雑草魂を持ち続けています」
だからこそ、日下選手が意識してきたのは"誰よりも努力すること"。「全体練習で頑張るのは当たり前なので、それ以外のところでやるのが自分の考え。人が寝ている時も練習したり、昼休憩の時も監督にマンツーマンで練習を見てもらったり。1回でめちゃくちゃやらなくてもいいから、その積み重ねをずっと継続してやってきました」
自らを"凡人"と称するからこそ人一倍練習を重ね、現在の地位を築き上げたのです。
■海外選手がイラつく相撲スタイル 大関から指導
そんな日下選手のプレースタイルは小学生の時に始めた相撲にルーツがあります。「相撲のように場外に相手を押し出して1点を取る。レスリングも相手と接触するので、相手のバランスや足の位置とか本当に相撲と通ずる部分があります」
グレコローマンスタイルは豪快な投げ技の飛び交いが魅力の1つですが、日下選手は「身体能力が高くないから派手に投げたりトリッキーなことだったりはできない。すり足と四股は自分の足腰の土台となっているので、ひたすら相撲を生かした前に出るレスリングを大切にしています」と唯一無二のスタイルを貫きます。
今でも相撲部屋に出向いて、すり足や四股などに磨きをかけていると言い「大関の琴櫻関(佐渡ヶ嶽部屋)から足腰の連動や力の出し方を教えてもらいました。四股の踏み方一つでも全然自分の思っていたものと違うので、日頃の練習でも意識しています。力士との稽古に比べると、レスリングは同じ体重の選手なので、押し出すのは簡単ですね。外国人選手は結構(相撲スタイルに)イラついて、もろに顔に出てくれるので、自分としても効いてるなというのはあります」と手応えを感じています。
■五輪金メダルは"宿命"
初の大舞台で狙うのはもちろん頂点。名前の「尚」は2000年シドニー五輪の女子マラソン金メダリスト高橋尚子さんが由来でつけられたものです。「自分の名前の宿命というか、知らず知らずのうちに"五輪で金メダル"というのを意識して生きてきた。高橋尚子さんのように優勝して、自分が影響を与えてもらったように影響を与えたい。ここに来るまでにもいろんな時間をレスリングに使ってきたし、今は"超人"になりたい。そういった思いを全て込めて、パリの舞台で絶対に金メダルを取ります」
凡人から超人へ!日下選手の"宿命"、五輪の金メダルをかけた戦いに注目です。