『全力で走り抜けた32年間』五郎丸引退へ
ラグビーの2015年ワールドカップ日本代表で、来年のトップリーグを最後に現役引退を表明していた五郎丸歩選手が記者会見で心境を語りました。
五郎丸選手は、「3歳から始めたラグビーを選手として終えることのさみしさはもちろんございますけど、32年間、全力で走り抜けて参りました。私には残り1シーズンしか、戦う気力、それから体力ともに、残ってございません。私には残り1シーズン残されております。この残された1シーズンをみなさまに対しての感謝の思いをしっかりと、胸の中に秘め、また背負い、全力で戦い抜いてまいりたいと思っております」と感謝の思いと、ラストシーズンでの活躍を誓いました。
また、「22歳でヤマハ発動機ジュビロとプロ契約をした瞬間から、35歳まで第一線で戦い抜くことを決意して契約したことを昨日のように思います」と引退の経緯を明かしました。
日本代表としては711得点、トップリーグでは通算1254得点(2020年シーズン終了時点)の歴代最多記録を持つ五郎丸選手。
大学時代から日本代表に選出されるなど代表での活躍が期待されていましたが、2007年・2011年のワールドカップ代表入りを逃し、日本代表に定着できずに苦しい思いをしてきました。
しかし、2012年に日本代表のヘッドコーチとなったエディー・ジョーンズ氏に出会い、才能を見いだされた五郎丸選手。キックを強化し、あの独特なフォームのルーティンも誕生しました。
そして2015年にワールドカップ初出場し強豪・南アフリカを相手に、日本は34対32で大逆転。五郎丸選手は、持ち味である正確なキックで全34得点中24得点をマークし、チームの歴史的勝利に貢献しました。
五郎丸選手はエディー氏について、「間違いなく自分の人生を大きく変えてくれた存在の1人だと思っています。エディーヘッドコーチという素晴らしいヘッドコーチに縁があり、代表に呼んでいただいたことにより、3歳から続けてきたラグビーというものに対して大きく貢献できたことを本当にうれしく思います」と恩師への感謝を語りました。
そのエディー氏は現在、イングランドのヘッドコーチを務め、2023年に行われるワールドカップでは日本がイングランドと同じグループに。
これを受け五郎丸選手は、「何かの縁でエディー・ジョーンズヘッドコーチ率いるイングランドと対戦が決まったということは、何か宿命というものを感じます。ラグビーが生まれたイングランドという素晴らしい国に勝利することで、また日本のラグビーの価値、スポーツの価値というものが高まっていくと思いますので、そこを最大のターゲットとして、後輩たちには頑張ってほしいなというふうに思います」と2023年に行われるワールドカップでの日本代表へ期待も寄せました。
来シーズンをもって現役生活に幕を下ろす五郎丸選手、ラストシーズンに向け「私自身は力強さ、そういったものを自分のモットーとしていますし、『日々の努力、夢への近道』という言葉を非常に大事にしていますけど、試合の時だけではなく、試合に対しての準備といった日々の生活の中での準備というものも、しっかりと大事にしながらラストシーズンに向けて努力していきたいというふうに思います」と意気込みました。