引退の中村憲剛“長男からの手紙”で涙
元サッカー日本代表で川崎フロンターレの中村憲剛選手(40)の引退セレモニーが21日、ホームスタジアムの等々力陸上競技場で行われました。
中村選手は2003年に中央大学から当時J2だった川崎フロンターレに入団し、司令塔として18年間、川崎一筋でプレーしてきました。2004年、J1に昇格すると、その後、リーグ優勝3回、ルヴァンカップ優勝1回など、クラブのタイトル獲得に大きく貢献してきました。
川崎をJリーグ屈指の強豪クラブへと押し上げた“レジェンド”の引退セレモニーには1万人を超えるサポーターが集まりました。また、大久保嘉人選手(38・東京ヴェルディ)や鄭大世選手(36・アルビレックス新潟)など、かつて一緒にプレーした選手ら36人が駆けつけ、引退に花を添えました。
中村選手とのコンビでゴールを量産し、史上初の3季連続得点王に輝いた大久保選手は「憲剛さんからのパスは自分のサッカー人生において大きな宝物です。本当に感謝したいと思います」と、幾度もアシストをしてくれた司令塔を称えました。
さらに、サポーター代表として手紙を読み上げたのは、中村選手の長男・龍剛くん(12)でした。2019年11月、中村選手が左膝前十字靭帯と左膝外側半月板を損傷したときの様子について「前十字を切ったときも前向きにリハビリをしていたよね。自分は高熱を出すほどショックだったけど、お父さんだけは違った。その頑張っている姿に僕はすごい人なんだなあと、毎日感じていました」と振り返り、「僕たちが憧れる存在になってくれたことには感謝という気持ちしか頭にありません。悲しいときも悔しいときも共に乗り越えてきた仲間、家族として『ありがとう』と伝えたいです。引退、おめでとう。そして、ありがとう」と、父へ感謝のメッセージを送りました。
長男の心のこもった手紙に時折、涙を浮かべながら聞いていた中村選手はスピーチで「先ほど素晴らしい文を書いてくれた息子。パパは3人(長男・長女・二女)がいたからここまで頑張ることができました。みんなと悔しい思いをした時期もありましたけど、優勝を喜べたことは決して忘れません」と、息子たちに感謝を伝えました。
そして、チームメートへ「みんなに会えて良かったです。僕は頼もしい後輩たちみんなにフロンターレを任せて先のステージに進みたいと思います。今日のこの景色は一生忘れません。本当に感謝してます。フロンターレ最高です。ありがとうございました」と締めくくり、最後は背番号の「14」にちなんでチームメートから14回の胴上げで見送られました。
今季限りで現役を引退する中村選手は、27日から現役最後の大会となる天皇杯に出場予定。まだ手にしていない“日本一の称号”天皇杯のタイトル獲得に挑みます。