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早大・山口智規が同門対決を制し悲願の日本一「譲れよと冗談を言われていた笑」【日本選手権クロカン】

2024年2月26日 12:02
早大・山口智規が同門対決を制し悲願の日本一「譲れよと冗談を言われていた笑」【日本選手権クロカン】
早大のエース・山口選手は冷静に勝負所を見極め、先輩の井川選手を抑えて優勝を果たした。タフさを身につけ、新境地へ
第107回日本陸上競技選手権大会・クロスカントリー競走が、2月25日に国営海の中道海浜公園 (福岡)で開催されました。アップダウンのある大芝生広場に設置された1周約2キロの特設コースを周回するため、選手たちにはタフさが求められます。

3月30日開催の世界クロスカントリー選手権(セルビア・ベオグラード)の代表選考会を兼ねたシニア男子10キロで日本一に輝いたのは、今年の箱根駅伝でも活躍した早稲田大学の山口智規選手でした。

「うまく流れてくれたので、思い通りのレース運びができました」

レース後にこう振り返ったように、早大の先輩である井川龍人選手(旭化成)や東京オリンピック男子5000m代表の坂東悠汰選手(富士通、法政大学OB)といった力のある実業団勢を相手に、山口選手は序盤から先頭集団に食らいつき、冷静にレースを進めていました。

「最後の1周はしんどかった」と言うように、優勝争いが井川選手、荻久保寛也選手(ひらまつ病院、城西大学OB)、藤曲寛人(トヨタ自動車九州、順天堂大学OB)の4人に絞られると、苦しそうな表情を浮かべる場面もありましたが、それでも粘りを見せ、最後は井川選手との一騎打ちに持ち込みました。

「ラスト1周でペースが落ちたので、井川さんはラストに向けて力を溜めているなと思いながらも、スプリント勝負になったら正直勝てる気がしなかったので、少し長めのスパートをかけました。脚を使わせたいと思って、何回か仕掛けました」

満を持して山口選手は先頭に立ち勝負を仕掛けますが、井川選手も先輩の意地を見せます。

「レース前に井川さんには『最後競り合いになったら譲れよ』と冗談を言われていました(笑)。でも、さすがに譲れません。(先輩との競り合いは)すごく感慨深くて楽しかったです」

両者譲ろうとしないラストスパート勝負は、29分16秒の同タイムで決着。最後は山口選手が一歩早くフィニッシュに駆け込みました。「疲労があって調子が悪かったが、勝ち切ることができて、自信になりました」

山口選手はこれまでタフなレースに苦手意識を持っていましたが、その弱点を克服し、大学生の枠を超えてシニアの大会で初めての日本一に輝きました。

山口選手は、今年の箱根駅伝ではエース区間の2区を走り、渡辺康幸さん(住友電工監督)が持っていた早大記録を29年ぶりに塗り替えました。また、昨年11月には大迫傑選手(Nike)が持っていたハーフマラソンの早大記録を更新するなど、名実ともに早大のエースとして活躍を続けています。

この優勝で世界クロカンの日本代表も有力。また、目標としていた5月開催の日本選手権1万mの出場権も手にしました。さらには、3月にはニューヨークシティ・ハーフマラソンの出場が決まっています。

「これからレースが続きますが、日本選手のトップとしてしっかり勝負できるようにしたい。日本選手の長距離も(5000m)12分台や(1万m)26分台が目指せるようになってきたので、置いてかれないように頑張っていきたいと思います」

日本一の称号を手にした臙脂のエースは、大学3年目のシーズンにさらなる飛躍を誓っています。
最終更新日:2024年10月18日 11:20