由伸×藤浪続編”復活”にかける9年目
高橋由伸さん(news zero野球解説者)が先月22日、阪神の藤浪晋太郎投手(26)をインタビュー。約2年ぶりの勝利をあげ、復活の兆しを見せた昨シーズンを経て、9年目となる今シーズンにかける思いを取材しました。
以下、高橋由伸さん=由伸、藤浪晋太郎投手=藤浪、とします(敬称略)。
由伸
まず去年を振り返って、リリーフも経験したと思うけど、全体的に振り返ってどんな年だった?
藤浪
数字を見れば良かったシーズンとは言えないですけど、数字以上に2021年につながるような終わり方のできたシーズンだったと思っています。(藤浪選手昨季成績:24試合1勝6敗 防御率4.01)
由伸
それは中継ぎを経験したから?何かつかんだものが具体的にある?
藤浪
中継ぎをやってから、すごく良くなったとよく言われるんですけど、中継ぎをやる前から状態が良くて、それがたまたまタイミングが中継ぎだったという感じです。その中でも中継ぎで勉強させてもらったことも多かったですし、経験させてもらってすごく良かったと思います。
由伸
キャンプで取り組んでいること、課題などは?
藤浪
自分の課題は制球だと思うので、4分割とはいかなくても左右2分割まで、ある程度まで投げられることと、あとはやっぱり変化球でしっかりカウントを取っていけることが、年間でローテーションに入る上で大事だと思って取り組んでいます。
由伸
ワインドアップであったり、フォームの体重のかけ方をだいぶ気にしていたように見えたんだけど、その辺も制球につながる?
藤浪
体重を後ろに残してそれをしっかり前に振っていくというイメージで投げてるんですけど、そのためにワインドアップの方がしっくりきている。セットポジションは「静」から「動」に動くので、それが自分の中でリズム的に難しいと思ったので、ワインドアップを取り入れています。悪くなればセットポジションに戻せばいいという感覚で、ワインドアップの方がタイミング合うんじゃない?くらいの感じでやっています。
由伸
取材中にたまたま川相昌弘臨時コーチと話す機会があって、バントなど一番聞きに来るのは藤浪選手だと言っていたが。
藤浪
そんなにバッティングがいいわけではないので…。
由伸
バッティングいいじゃん!(笑)
藤浪
当たれば飛ぶんですけど、めったに当たらないので。送れるべきところはしっかり送るというのが、得点に結びつく・結びつかないとは別に、試合の流れに影響を与えることはあると思う。そのあたりに勝ち負けの流れが宿って来ると思うので、ピッチング以外にも大事にしています。
由伸
先発でいくとなったら勝つためには必要な部分だもんね。今年に関する理想、こんな投球をしたいなというのは?
藤浪
数字というところを言うと完投数やイニングは自分の中で重視している数字です。先発完投型のピッチャーが少なくなってきていると思いますし、先発完投できるタイプの投手は希少だと思うので、だからこそそういうタイプを目指していきたい。分業制の時代だからこそ、あえてそこを目指すのも一つありかなと思って、やってみようと思っています。
由伸
監督をやらせてもらった立場で言うと、完投してくれる投手はすごくありがたい。先発完投ができるポテンシャルは十分あると思うので、是非頑張って欲しいなと思います。一番意識するところはストレート?
藤浪
速い球を投げられるのが自分の特長であるとはと思ってますし、ストレートにもこだわりはあります。ただ160キロ出ても打たれる時代というのは正直感じています。自分が160キロ出るからといって、ストレートを「えいや」で投げたら打たれる。プロの打者は狙っていたら打つと思うので。いかに打者の意識を変化球にいかせて、ストレートへの意識を極力少なくできれば武器になって来ると思うので、変化球も大事ですし、まっすぐも大事。両方のバランスかなと思ってます。
由伸
他のセ・リーグの各球団は、藤浪選手が一番脅威だと思っているはず。藤浪選手が出てきたら阪神はちょっと手ごわいなと思うので。
藤浪
自分で言うのも少し変ですけど、自分が勝つか勝たないかはすごく大きいような気がしているので、しっかり勝てるように、チームに貢献できるようにと思っています。
由伸
頑張ってください。
藤浪
ありがとうございます。
■藤浪晋太郎(ふじなみ・しんたろう)
1994年4月12日生まれの26歳。2012年、高校3年時に大阪桐蔭のエースとして史上7校目となる春夏連覇を達成。同年のドラフト会議で4球団競合の末、阪神にドラフト1位で入団。新人から3年連続2ケタ勝利をあげ、3年目には221奪三振で最多奪三振のタイトルを獲得。その後は勝ち星が減り、2019年はプロ入り初の未勝利に終わる。去年8月21日に1年11か月ぶりの勝利をあげ、リリーフ転向後の10月19日のヤクルト戦で162キロをマーク。これは球団史上最速で、日本人選手では同学年の大谷翔平選手(26)に次ぐ、2位の数字である。