内村航平 五輪開催は「考えないように」
体操の種目別・鉄棒で東京五輪出場を目指す内村航平選手(32)が14日、代表選考会の一つ、NHK杯(15・16日、長野市)に向けて前日会見に臨みました。「五輪には近づいているけど、そこまで五輪を意識しているというよりは、1試合1試合、しっかり満足したものを出したい気持ちが大きい」と、率直な思いを明かしました。
また、「順位とか得点より、自分が好きで始めた体操をここまでやってきて、思い返すと自分が満足した演技は少ないと思う。鉄棒に絞って自分の満足する演技が出しやすいと思うので、追求してやらないといけないし、やってこられているので、そこに全てをかけてやりたい」と意気込みを語りました。
内村選手の主な一問一答
――試合で技を成功させても、さらによくしていきたいという思い
「6種目していた頃だと、小さいミスは目に見えてわかるものが少しはあったけど、鉄棒1種目になると、ミスなくやっても、成功していても、全部完璧を目指してやらないと気がすまない。1種目に絞ったからこそ、1動作も気を緩めてはいけないので、10個の技と言わず、1つ1つの動作を自分の理想通りに動かしたい」
――東京五輪の代表争いについて
「僕は種目別なので、(団体枠が)先に決まるのはうらやましい。僕は今大会を含めて3演技しないといけないので、まだ気を抜けないけど、改めて代表選考の厳しさを今感じている」
――今後に向けても楽しみな若手選手の存在
「若くして代表に入って世界のトップになっていくとなると、僕も同じ経験をしているので、伝えなければいけないこともたくさんあると思う。僕がチームに入らなくなってかなり心配されていたのを払拭してくれるのは、若い世代だと思う。日本の中心になっていかないといけないのは、彼ら自身もわかっているとは思うけど、それに加えて僕の経験を伝えていければさらに強くなれるんじゃないかなと思う」
――コロナ禍での東京五輪の開催について
「僕の中では考えないようにしている。五輪を目指す立場として、あるかないかは、かなり大事な問題にはなっているけど、そもそも僕は好きで体操を始めて、ここまでやってきたので、まず体操選手として目の前の練習と、開催されている試合を全力でやるだけかなと、考えた先にたどり着いた。だからそこまで精神的に影響することもないし、自分の中でそこまで気にしていることでもないかなというところはある」
――その考えはいつ頃たどり着いた
「まず、まだ僕は東京五輪の代表ではないので、あるかないかを議論する立場でもないかなというのが一つ。あとは選手に決められることではないので、そこを議論しても僕たち選手には変える力がないので。だから目の前のできることを、僕は体操選手なので体操をやること、練習すること、試合があればその試合に出ること、これを仕事としてやっているので。まずそこができていないと、そもそもそこに立つ権利もないと思うので、議論している暇があったら僕は練習しようかなと。日々考えながら過ごしていたら勝手にそういう考えになったという感じです」
写真:森田直樹/アフロスポーツ