退任稲葉監督「みんなのおかげ」感謝の涙
野球日本代表「侍ジャパン」の稲葉篤紀監督(49)が30日、4年2か月間の任期を満了し、退任会見を行いました。
選手で出場した2008年の北京五輪でかなわなかった金メダル。その金メダルを東京五輪で獲得し、「(監督就任時)五輪の借りは五輪で返すと強く誓い、東京五輪で野球日本代表が最高の結果を得るために、まず私が学び、試しながらチームをつくり結束していくことで、自分への誓いを実現することができました」と話しました。
そして「監督に就任してから代表に関わったすべての選手、コーチスタッフ、裏方さんや関係したすべてのみなさんのおかげです」と感謝を述べました。さらに「私の最大の理解者であります妻や子どもにも感謝…」と口にすると言葉に詰まって涙を流し、「本当にありがとう」と言葉を絞り出しました。
会見には、共に日本代表で戦った巨人・坂本勇人選手など4選手がVTRでメッセージ。サプライズで登壇したDeNAの山崎康晃投手から花束を贈呈されると、笑顔を見せていた稲葉監督は再び涙をみせました。
――以下、会見の主な内容
――4年間振り返って
「東京五輪で金を取ることを目標に監督を引き受け、たくさんの試合を経験させていただき、その中でたくさんの選手と関わり合い、多くの方と出会い、いろんな勉強をさせていただいた4年間だった。最大の目標である五輪の金メダルを達成できたことはすべての方に感謝しかないですし、ほっとしている気持ちです」
――日本代表の今後
「私は目標が金メダルという設定がありましたので私はそこに向けてきました。今後は、次の大会が決まっていないので決まり次第、その目標に向かってやってくれると期待をしていますし、侍ジャパンは若い世代がどんどん出てきてますからそういう選手たちが子供たちの模範、憧れる選手を侍ジャパンは目指してやっていただきたいと思います」
――今後期待する選手
「東京五輪を一緒に戦ってくれた村上宗隆選手もそうですし、ルーキーの伊藤大海選手もそうですし、栗林良吏選手もそうですし。今、どんどん若い選手が出てきていますから、こういう選手たちが今後、日の丸を背負って戦う姿というのは楽しみにしたいなと思います」
――子供たちへメッセージ
「五輪を見てきっかけに野球を始める子供たちがいればこれほどうれしいことはないですし、私も野球をやって技術もそうですけど、人間稲葉篤紀を野球に育ててもらったのでみんなもいろんなことを鍛えてもらって、ゆくゆくはプロ野球選手になっていただきたいですし、侍ジャパンを目指してやって欲しいと思います」
――恩師野村克也監督の墓前に報告
「まずは金メダル取りましたと報告させてもらいました。野球もそうですけど、社会人として人間性というところも学ばせてもらいました。私が監督になって表向きではいろいろと言っていましたけど、裏では心配してくれていたと聞いていました。本当なら五輪を見てもらい、直接金メダルを報告したかったです」
――野村監督の教えは
「(野村監督からの言葉で)事前の準備、備えあれば憂いなしという言葉が印象に残っていて現役時代もその言葉を胸にずっとやってきました。(監督として)選手に迷いがないようたくさん準備し、選手との関係性も築いてきた。4年という月日、小久保ジャパンのコーチから8年の間で築いてきたものは大きかったと思います。準備をしてきたからこそ最高の結果につながったと思います」