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【バスケW杯】ベネズエラ戦23得点の比江島慎 大会前はし烈なメンバー争いも「最年長らしいプレーができた」

2023年9月1日 18:37
【バスケW杯】ベネズエラ戦23得点の比江島慎 大会前はし烈なメンバー争いも「最年長らしいプレーができた」
ベネズエラ戦で23得点を決める活躍をみせた日本代表・比江島慎選手(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)
◇FIBAバスケットボールワールドカップ2023 順位決定戦グループO 日本86-77ベネズエラ(31日、沖縄アリーナ)

ベネズエラ戦で逆転勝利の立役者となった日本代表の比江島慎選手。9点を追いかける第4クオーターに4本の3ポイントを決めるなど17得点をマーク。この試合チームトップの23得点をあげました。

しかし、今大会の登録メンバーが発表される前までは、“日本代表争い”をするなど順調ではありませんでした。その比江島選手を大会前、山本健太アナウンサー(日本テレビ)が取材していました。

■「こんな必死になったことはない」最年長で初めて挑んだ“サバイバル”

生き残りをかけた戦いの中で「最年長でも、ルーキーのような気持ちでやっています!」と、明るい表情を見せていた日本代表最年長の比江島選手。W杯最終メンバーは12人で、比江島選手と同じポジションで、代表入りを狙う選手は多く、し烈な争いが繰り広げられていました。その中で、比江島選手はまさにルーキーのように、日々アピールを続けていました。

比江島選手にとって日本代表への“サバイバル”はほぼ初めての経験といっても過言ではありません。

百道中学、洛南高校、青山学院大学。どのカテゴリーでも、常に学生バスケの先頭を走り、プロ入り後も日本一を経験しMVPにも選出。NBAへの登竜門・サマーリーグに挑戦したこともあります。大学4年生の時に日本代表に初選出され、10年以上活躍し続けてきた超エリートなのです。

それでも、メンバー入りに向けたサバイバルの中にいた比江島選手も「確かに言われてみれば、メンバーに入ることに、こんなに必死になったことはなかったですね…」と、これまでのバスケ人生を振り返っていました。

■ホーバスHCのもとで変えたプレースタイル「3ポイント」へのこだわり

余談ですが、私もバスケットボールをしていました。2006年のウインターカップ(高校生の冬の全国大会)に出場した際には、私の1学年下、当時、洛南高校1年生の比江島選手のプレーを目の当たりにし、衝撃を受けました。1年生とは思えない落ち着き、正確なプレーで、日本一に貢献。スーパースターを擁し、ウインターカップでは3連覇を達成しています。

比江島選手は、今回のW杯メンバー入りに向け、プレースタイルも少し変えていきました。

元々、比江島選手はドリブルで中に切れ込んでいくドライブが得意な選手。独特なステップは“比江島ステップ”とも呼ばれています。

トム・ホーバスHCが3ポイントシュートをチームに求める中、「“比江島ステップ”でのドライブ」という武器を残しつつ、3ポイントシュートを磨いてきました。

実際に、国内のBリーグにおいて2022-23シーズンは、3ポイントシュートの確率が43.4%。これはリーグ全体では3位。日本人選手に限れば1位という結果を残しました。

■日本代表の引退も考えた33歳が挑むW杯「最年長らしいプレーができてよかった」

W杯が開幕する2週間前の8月11日に、33歳となった比江島選手。バスケ界でも、ベテランと言われ始める年齢になる中、「世界で1勝したい」という人一倍強い思いを持っていました。

日本代表は、世界の舞台へ挑戦すらできなかった時代が続きました。そして、13年ぶりに出場した前回の中国W杯、さらに東京五輪は、注目されていたものの、いずれも念願の1勝をあげることはできませんでした。

比江島選手は、日本代表の苦しい時代を長く経験しています。実は、東京五輪が終わり「もう日本代表は引退しようか」と考えていたと言います。それでも「世界で1勝したい」という思いから、最年長となった今も代表活動を続けました。

その中で迎えた今回のワールドカップ。日本はグループステージでフィンランドに悲願の1勝をあげると、さらに、2次ラウンドには進出できなかったものの、日本より世界ランク上位のベネズエラにも勝利しました。

その試合後、比江島選手は、「最年長でいろんな経験をしてきたので、ああいう苦しい展開というのは自分の経験も生きると思っていた。勝利に貢献できて、最年長らしいプレーができてよかった」と喜びを語りました。

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