2年連続三冠へ抜かりなし 駒大が出雲駅伝で大会新V
■国際舞台を経験した1区・篠原選手、2区・佐藤選手がともに区間賞
先陣を切る1区は、学生の世界一を決めるワールドユニバーシティゲームズ(以下、WUG)にハーフマラソンで出場した篠原倖太朗選手(3年)が起用されました。
今季は、春先に好走を連発しましたが、「5月のGGN(ゴールデンゲームズinのべおか)からずっと調子が悪くて、WUGも間に合わなかった」と言うように、なかなか本来の力を発揮できないレースが続いていましたが、駅伝シーズンを前にようやく上り調子に。各校のエース級が集まる3区に起用する案もありましたが、「まだまだ状態が上がり切っていない」(藤田敦史監督)ために、1区を任されました。
「(他校の選手は)自分とアイビーリーグの選手を意識してくると思っていた。予想していた展開になり、落ち着いてレースを進められ、集団を上手に利用できた」と篠原選手。アイビーリーグ選抜のヒューゴ・ミルナー選手(ハーバード大学)が積極的にレースを引っ張り、集団が縦長になっても食らいつきます。最後はミルナー選手との一騎討ちになりましたが、ラスト300mからのスパートで突き放し、見事に先頭で中継しました。
2区の佐藤圭汰選手(2年)は、5000mで6位入賞したアジア大会から中4日で臨みました。
その影響もあって「突っ込みたかったけど、全然体が動かなかった」と言うように、同区を走った前回よりもタイムは41秒下回りました。それでも、青山学院大学の黒田朝日選手と区間賞を分け合い、2位との差を39秒とし早くも独走態勢を築きました。
■エース区間に抜擢された山川選手が快走
前回、大エースの田澤廉選手(現・トヨタ自動車)が務めたエース区間の3区には、今年の箱根駅伝で5区を好走した山川拓馬選手(2年)が抜擢されました。
この起用に応え、山川選手は見事な走りを見せます。城西大のヴィクター・キムタイ選手(2年)、創価大のリーキ・カミナ選手(3年)にはわずかに及びませんでしたが、日本選手トップとなる区間3位と好走。
区間4位(日本選手2位)の佐藤一世選手(青山学院大学4年)には32秒もの大差を付けました。2位との差は57秒となり、「3区の山川が後ろとの差を広げた時点で、"これだったら行けるかな"と思いました」と藤田監督は初めて勝利を確信しました。
4区の伊藤蒼唯選手(2年)は区間3位、5区の安原太陽選手(4年)は区間2位と、以降も堅実なタスキリレーでガッチリ首位をキープします。
大会前のミーティングで「自分がタスキをもらうのが2番、3番でも、絶対に負けない自信があるから、焦らずにつないでほしい」と鈴木選手は話していましたが、逆に39秒のアドバンテージを持ってスタート。
「リラックスして走れました」と言うように、2位以下を全く寄せ付けず、6区の日本選手最高記録となる29分00秒の好記録をマークし、区間賞の走りでレースを締めくくりました。「ちゃんと引っ張れているか分かりませんが、自分がキャプテンを務めるチームで勝てたのは本当に誇らしいし、うれしいです」と鈴木選手は、前回の優勝とは一味違う喜びをかみしめていました。
今季より指揮をとる藤田監督は、今回が駅伝の初陣。「メンバーを決める上ですごく悩みましたし、決めたあとも、はたしてこれで良かったのか、といろいろ考えるところがありました。こうして子どもたちが一生懸命に頑張って優勝を届けてくれたことは、これ以上にうれしいことはない。本当に総合力の結果です」と選手たちを称えました。
出雲駅伝後に行われた"もうひとつの出雲駅伝"こと出雲市陸協記録会でも、当日変更で駅伝を走れなかった赤星雄斗選手(4年)がトップでフィニッシュ。今季の駒大の強さをさらに印象づけました。史上初の2年連続学生駅伝三冠に向けて、駒大は好スタートを切りました。11月5日の全日本大学駅伝、そして、来年1月2日、3日の第100回箱根駅伝と戦いは続きます。