金メダル第1号 進化する小林陵侑のジャンプをAI分析 強さの秘密は“空中姿勢と体幹”
北京五輪スキージャンプ男子ノーマルヒルで金メダルを獲得した小林陵侑選手(写真:新華社/アフロ、6日)
北京五輪スキージャンプ男子ノーマルヒルで悲願の金メダルを獲得した小林陵侑選手(25)。2月6日放送の「Going!Sports&News」では、小林選手の強さの秘密を、最新AI技術で徹底分析しました。
小林選手は、初出場となった4年前の平昌五輪で、ノーマルヒル7位、ラージヒル10位という結果に終わりました。当時を振り返り、「すごく調子は良かったが、メダルが取れなくて悔しくて、それが大きなターニングポイントになったかなと思います」と話していました。すると、平昌五輪の翌シーズン(’18-’19)、ワールドカップで13勝をあげ、日本人初の総合優勝を果たしました。
そして、オリンピックイヤーとなる今シーズンを迎えると、モーションキャプチャを使って体の動きを分析。小林選手は、自分がどういう動きをしているかを測定し、自らのジャンプを一から見直したといいます。そして、年末年始に8日間で4試合を戦う「ジャンプ週間」で、2度目の総合優勝を果たし、優勝賞金およそ1260万円を手にしました。
■進化する小林陵侑の“金メダルジャンプ”をAI分析
小林選手は、自らのジャンプの“進化”について「無駄のない、ロスのないジャンプを心がけている」と明かしました。そこで、4年前の平昌五輪と現在のジャンプを、AI技術を駆使して分析。すると、“ジャンプの踏み切り”に変化があることが判明しました。平昌五輪では、足と板の角度が「56.05度」なのに対し、現在は「67.28度」と、4年前より10度以上も角度が大きくなっていました。
この理由について、長野五輪・金メダリストの船木和喜さんは、体の使い方に変化があるといいます。「(小林選手は)全身のバネを使って飛行距離を出すジャンプ。その角度が低すぎると、浮力を得る前に(体の)ラインが下がってしまい、ロスが生まれてしまう。上方向に上半身を使うというのが今は主流になっている」と解説。踏み切るとき、スキー板と足の角度が小さいと上半身が倒れるため、飛び出した後、うまく浮力をつかむことができません。そこで、角度をつけ上半身を立たせることで、浮力を得ることができるといいます。
小林選手はこれまで、葛西紀明監督のもと、下半身を強化してきました。中でも磨いてきたのが「踏み切り」。全身の“バネ”を強化し、上半身を立たせるフォームを磨いてきました。
さらに小林選手には、“もう1つ優れた技術がある”と船木さんはいいます。「空中に出てから、ほかの選手よりスキー板が早くV字型になる。V字型までが短くなるということは、パラシュートでいうと、開くスピードが速い。開くのが速ければ速いほど、浮力が得られますから、後半高さがどんどん出てくる」。
小林選手は飛び出したあと、空中ですぐにV字の形を作ることができるため、他の選手よりも浮力をつかむのが速く、後半の伸びにつながっているということです。
さらに、空中での姿勢をAIで分析してみると、4年前は体と板の角度が「23.16度」だったのに対し、現在では「27.56度」と角度が大きくなっていることが分かりました。その理由について船木さんは、「空中に出てからの体の角度・スキー板のバランスが、一番合っている角度になっている。飛び出た体の角度に対して、スキー板が同じところにある。風の抵抗を全体で均一に捉えている。これ(板)が動くということは、すごくロスがあるので、距離はあまり伸びない」と分析します。体とスキー板の角度を大きくしたことで、空中姿勢が平行になり、飛距離アップにつながっているといいます。
それを可能にしているのが、小林選手持ち前の“バランス感覚の良さ”と“体幹の強さ”。踏み切りの角度、そして、空中姿勢を平行に保てるようになったことで飛距離が伸び、金メダルにつながっていることが分かりました。
日本勢第1号となる金メダルを獲得した小林選手。今後は、混合団体、ラージヒルの2種目に出場する予定です。
小林選手は、初出場となった4年前の平昌五輪で、ノーマルヒル7位、ラージヒル10位という結果に終わりました。当時を振り返り、「すごく調子は良かったが、メダルが取れなくて悔しくて、それが大きなターニングポイントになったかなと思います」と話していました。すると、平昌五輪の翌シーズン(’18-’19)、ワールドカップで13勝をあげ、日本人初の総合優勝を果たしました。
そして、オリンピックイヤーとなる今シーズンを迎えると、モーションキャプチャを使って体の動きを分析。小林選手は、自分がどういう動きをしているかを測定し、自らのジャンプを一から見直したといいます。そして、年末年始に8日間で4試合を戦う「ジャンプ週間」で、2度目の総合優勝を果たし、優勝賞金およそ1260万円を手にしました。
■進化する小林陵侑の“金メダルジャンプ”をAI分析
小林選手は、自らのジャンプの“進化”について「無駄のない、ロスのないジャンプを心がけている」と明かしました。そこで、4年前の平昌五輪と現在のジャンプを、AI技術を駆使して分析。すると、“ジャンプの踏み切り”に変化があることが判明しました。平昌五輪では、足と板の角度が「56.05度」なのに対し、現在は「67.28度」と、4年前より10度以上も角度が大きくなっていました。
この理由について、長野五輪・金メダリストの船木和喜さんは、体の使い方に変化があるといいます。「(小林選手は)全身のバネを使って飛行距離を出すジャンプ。その角度が低すぎると、浮力を得る前に(体の)ラインが下がってしまい、ロスが生まれてしまう。上方向に上半身を使うというのが今は主流になっている」と解説。踏み切るとき、スキー板と足の角度が小さいと上半身が倒れるため、飛び出した後、うまく浮力をつかむことができません。そこで、角度をつけ上半身を立たせることで、浮力を得ることができるといいます。
小林選手はこれまで、葛西紀明監督のもと、下半身を強化してきました。中でも磨いてきたのが「踏み切り」。全身の“バネ”を強化し、上半身を立たせるフォームを磨いてきました。
さらに小林選手には、“もう1つ優れた技術がある”と船木さんはいいます。「空中に出てから、ほかの選手よりスキー板が早くV字型になる。V字型までが短くなるということは、パラシュートでいうと、開くスピードが速い。開くのが速ければ速いほど、浮力が得られますから、後半高さがどんどん出てくる」。
小林選手は飛び出したあと、空中ですぐにV字の形を作ることができるため、他の選手よりも浮力をつかむのが速く、後半の伸びにつながっているということです。
さらに、空中での姿勢をAIで分析してみると、4年前は体と板の角度が「23.16度」だったのに対し、現在では「27.56度」と角度が大きくなっていることが分かりました。その理由について船木さんは、「空中に出てからの体の角度・スキー板のバランスが、一番合っている角度になっている。飛び出た体の角度に対して、スキー板が同じところにある。風の抵抗を全体で均一に捉えている。これ(板)が動くということは、すごくロスがあるので、距離はあまり伸びない」と分析します。体とスキー板の角度を大きくしたことで、空中姿勢が平行になり、飛距離アップにつながっているといいます。
それを可能にしているのが、小林選手持ち前の“バランス感覚の良さ”と“体幹の強さ”。踏み切りの角度、そして、空中姿勢を平行に保てるようになったことで飛距離が伸び、金メダルにつながっていることが分かりました。
日本勢第1号となる金メダルを獲得した小林選手。今後は、混合団体、ラージヒルの2種目に出場する予定です。