高橋由伸&尚成が投手・大谷翔平を語る「160キロを投げる変化球ピッチャー」
◆シーズン防御率で日本人歴代トップ「スライダーの投手になった」
大谷選手は今シーズン、これまで野茂英雄さんが持っていたシーズン防御率2.54の日本人記録を更新。由伸さんが「後半戦に、一気に防御率が良くなった」と切り出すと、尚成さんは「後半戦の方がすごく安定感があった。スライダーの投手になっちゃって」と話します。
日本ハム時代の大谷選手は主にスプリットが決め球でしたが、今年の6月からは決め球がスライダーに変更。シーズン最終戦の5日のアスレチックス戦では、全69球のうち31球がスライダーでした。
尚成さんは「あのクラスになると、肘を下げて曲げにいくとすごく曲がるんだと思う」と話します。およそ50センチ曲がるとも言われているスライダーを投げるときのフォームは、ストレート系のフォームと比べると、若干肘の位置が下がっています。
続けて尚成さんは「スプリットはボールにするための球が多い。大谷選手は落差が良すぎて全部見逃されていたから低めの球はバットが止まっていて、相手も『2ストライクで追い込んだらスプリットだろ』みたいな感じになっていた。だからスライダーが多くなったというより、スプリットを見逃されるようになって変えていったんじゃないかな」と、大谷選手の決め球がスライダーになった理由を分析しました。
◆シーズン中のツーシーム解禁「いきなりクオリティの高いボール」
大谷選手が8月ごろから投げ始めたツーシームは、最速162キロをマーク。
「ストレートより速い」と言われています。尚成さんは「ツーシームの方がガッと、指に力を入れやすいんじゃないかな。縫い目もかかっている部分が多いから」と解説。
「緩んで投げると、シュート回転のボールだから、甘いボールになる可能性がすごく高い。だから、バーッと腕を振らないと投げミスが多くなっていくんじゃないか」と尚成さんが話します。
また、由伸さんが「普通、シーズン中に球種は増やすの?」と問いかけると、尚成さんは「いや、無理じゃない?」と回答。さらに尚成さんは「あのツーシームは突貫工事じゃないかと思う。練習では投げていたと思うけど、試合でいきなりあれだけクオリティの高いボールを投げるって、まぁすごい」と絶賛。
「スプリットが見逃されて、スライダーがマークされだしたら、今度ツーシームを投げ出した。あの簡単にやりこなせる能力がすごい。160キロを投げる変化球ピッチャーだね」と、大谷選手のたゆまぬ努力と器用さを評しました。