五輪金メダル獲得後に女性になる手術を受けたジェンナーさん 同じくトランスジェンダーの競泳選手リア・トーマス選手について語る
ケイトリン・ジェンナーさんは、ブルース・ジェンナー選手として1976年のモントリオール五輪で、陸上十種競技金メダルを獲得しました。
その後、2015年にトランスジェンダーであることをカミングアウトし、女性になる手術を受けています。
リア・トーマス選手は先月の競泳・全米選手権に、NCAAの定める基準にのっとって、女子選手として競技に出場していました。
女子自由形500ヤードで優勝しましたが、“元々は男性だったからフェアではない”などとして、その結果を疑問視する声が多く出ていました。
こうした事態を受けて、ジェンナーさんは「トランスジェンダーの選手に対しての規則などが整っていない」として、今後、法律家などに働きかけを行っていくとしています。
「これはリアだけの問題ではありません。1人の選手よりも大きな問題です」としています。
▽以下、ジェンナーさんのインタビュー(抜粋)
わたしは「世界で一番の選手」になるという夢をかなえるために、心血を注いできました。決して簡単ではなかったし、犠牲にしたモノも多くありました。
自分のスポーツ界、五輪での達成記録が自分を形作る、と思っていました。後に、トランスジェンダーとして生きていくことを決め、本来の自分を見つけることができたのは幸運でした。
だからこそ、リア・トーマス選手の事案は私の心に響きました。
リアには自分を偽らず、真の人生を生きてほしい。でも、女性として生まれた選手にもそうしてほしいし、すべての人にそうであってほしい。
私たちは女性のスポーツを守る必要があります。すべての犠牲を払っても。
リアが全米選手権で女性として生まれた選手に勝利したことはスポーツが持つ意味と、競争という精神からみて、受け入れ難いものです。
リアが圧倒的な強さで勝利するのをみて、心が痛むと同時に腹が立ちました。
心が痛んだのは女性として生まれて、スポーツにすべてをささげてきた女子選手に。腹が立ったのはNCAAが女子選手の権利を守るためにもっとできたことがあったと思うからです。
女子選手を守るのは彼らの義務です。それなのに、世論という寝た子を起こし、女子選手を守ることを怠った。
私は今後、女性のスポーツを守るために、そして、みんなが自分の人生を正直に生きられる世の中をつくるために、法整備の世界に踏み出そうと思います。
これはリアだけの問題ではありません。1人の選手よりも大きな問題です。
リアがこの言葉を読んでくれたらと思います。つらいだろうし、楽になることなんてないと思います。でもいつか私たちが経験したことについて会話できる日が来ることを願っています。