【MotoGP】し烈な王者争いのMoto3クラス 日本GP実況の澁谷善ヘイゼルアナが熱く伝えます
■予測不能なMoto3クラス世界チャンピオン争い
昨季も世界チャンピオンの座を争った実力者に、ルーキーイヤーを経て著しい成長を遂げたレギュラー参戦のライダー、そして驚異的なルーキーの存在。毎回、どの選手が優勝するか全く読めない激戦が繰り広げられています。
昨季の年間チャンピオンのゲバラ選手、2位ガルシア選手、そして3位フォッジア選手がそれぞれ活躍の舞台をMoto2クラスへと移した中、今シーズンの開幕戦をポルトガルで迎えました。
昨季年間4位だった佐々木歩夢選手が、日本人選手25年ぶりの軽量級世界チャンピオンに向けて、スタートダッシュを決めることを期待するファンも多かったと思います。
しかし開幕戦から目立ったのは若手ライダーの台頭でした。昨季のルーキー・オブ・ザ・イヤー、オルガド選手やオルトラ選手、ブラジル人のモレイラ選手といったレギュラー参戦2年目のライダーが、序盤から上位でフィニッシュする成長ぶりを見せつけます。
また、その若手選手に加えて、これまでの数シーズンで経験と実績を積み重ねてきたマシア選手やオンジュ選手といったMoto3クラスのキャリアが長いライダーも、シーズンが進むと確実に表彰台に立つようになっていきました。
それは世界チャンピオンへの期待とプレッシャーがかかる佐々木選手も同様で、シーズン中盤には6戦連続表彰台という驚異的なパフォーマンスを披露しました。
ただ、ここで終わらないのが今シーズンのMoto3クラスです。前述した選手に加えて年間チャンピオン争いに食い込んできそうなルーキーまで現れました。それが12戦を終えた時点で3度の優勝を果たしている新人、ダビド・アロンソ選手です。
昨季のチャンピオン、ゲバラ選手が所属していたガスガス・アスパル・チームが注目し、契約した新人というだけで、どれだけ有望なライダーか伝わるのではないでしょうか。その期待に違わぬ才能と実力をシーズン中盤で早くも発揮しています。
こうした面々の活躍によりシーズン13戦を終えた時点でポイントリーダーのオルガド選手から40ポイント差以内に5人がひしめく大混戦状態に。誰がチャンピオンになるのか全く本命を絞れない中、今年の日本GPを迎えることになったわけです。
■期待される佐々木歩夢のシーズン初優勝
昨季は2度の優勝を含め9度表彰台に立ち、ポイントランキング4位で終えた佐々木選手。その活躍は、日本人としては1998年の坂田和人さん(日テレジータスMotoGP中継解説者)以来となる軽量級の世界チャンピオン獲得へ期待が膨らむ内容でした。佐々木選手自身もシーズン前にMoto3クラス制覇へ、自信をのぞかせる言葉も残していました。
しかし、佐々木選手を待ち受けていたのは予期せぬシーズン序盤の苦戦でした。2度のノーポイントを含め開幕から3戦で獲得したのは、わずか10ポイント。
初表彰台は5月中旬の第5戦フランスGPでの2位と、ライバルから大きく出遅れることになりました。
予選ではベストタイムを幾度となく記録するなど決して調子が悪いわけではない中、決勝で結果がついてこなかった佐々木選手。
しかしこのフランスGPでの2位表彰台が佐々木選手のスイッチを入れるきっかけとなりました。この表彰台を皮切りに6戦連続表彰台というパフォーマンスで圧倒的な存在感を示したのです。
ポイントリーダーのオルガド選手やランキング上位のマシア選手がノーポイントでレースを終えることもある中、佐々木選手は第13戦インドグランプリまで10レース連続7位以内、表彰台に7度上がり、現在173ポイント。瞬く間にポイントランキング3位に立ち、見事チャンピオン争いに加わってきたのです。
しかし他のポイントランキング上位陣と比べて唯一、佐々木選手が見劣りするのが今シーズン優勝できていない点です。オルガド選手やオンジュ選手、マシア選手といったライバルは今季既に2勝以上あげています。
ラストラップの最終コーナーまで先頭を走る佐々木選手の姿を今季は何度も目の当たりにしてきましたが、最後の最後、あと一歩のところで優勝を逃してきました。
それでもシーズン初優勝を日本GPで達成すれば自力でポイントランキングトップに立てます。今週末の日本GPでは大勢のファンの皆さんから声援とパワーを「モビリティリゾートもてぎ」に届けていただきたいです!
■日本GPへ向け調子が上向く日本人ライダー
今季は佐々木歩夢選手、鈴木竜生選手、鳥羽海渡選手、山中琉聖選手、そして古里太陽選手です。この5人が、日本GPを前に心躍る記録を残しています。
第11戦カタルーニャGPで初めて全員がプラクティスから公式予選2に直接進出すると、決勝では勢いそのままに全員がポイントを獲得。こちらも初めてのこと。更にその勢いは止まらず、翌週のサンマリノGPでも日本人全員がポイント獲得というこれ以上ない成績を収めました。
続く第13戦、初開催となったインドGPでは鳥羽選手が2位、佐々木選手が3位で今季初めてとなる日本人選手のダブル表彰台も達成しました。
このように調子が上向いた中で迎える日本GPは予選が9月30日、決勝は10月1日です。佐々木選手のシーズン初優勝はもちろん、鈴木選手のシーズン2勝目(第2戦アルゼンチンGP以来)、鳥羽選手の2戦連続表彰台、さらには山中選手、古里選手のキャリア初表彰台にも期待が高まります。
【放送】
日本テレビ《関東ローカルで10/2(月)深夜》
BS日本《10/1(日)MotoGPクラス決勝中心に生中継》
CS放送日テレジータス《9/30(土)3クラスの予選+スプリントレース 生中継》
《10/1(日)3クラスの決勝 生中継》
【配信】
Hulu《9/29(金)-10/1(日) 初日3クラスのフリー走行から生配信》
YouTube日テレスポーツ公式チャンネル 日本GP関連の様々な配信を予定